長文集  1月2週  ○月の青いばん(感)  e-01-2
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2014/12/14 16:44:34
 【1】月の青いばん、アフリカの草原で、
ライオンに三つ子がうまれました。まるまる
ふとってククククとよくわらうのがコロン、
ちっともわらわないのがムウ、ちょっとばか
りげんきがないのがショボン……となづけら
れて、いくにちかすぎました。【2】ちかく
にお花ばたけがあるせいか、花のさいている
ときにうまれたせい か、みんなひどく花ず
きでした。三びきは、よく、ちかくの森の、
花ばたけにねそべりにゆきました。
 【3】さてまた月の青いばん、三びきが花
のあいだでふざけていると、かあさんライオ
ンがやってきて、コロンをよびました。
――コロンちゃん、いっしょにいらっしゃい

 【4】うん、とコロンはおきあがり、クロ
ーバーを、ちょいとあたまにつけて、かあさ
んライオンについてゆきました。
 森にはいると、かあさんライオンはいいま
した。
――きょうはね、ケモノのつかまえかたをお
しえてあげるの。【5】よくみてらっしゃい
よ。そういうと、じっとからだをひくめて、
しのび足で、ツツツツツウと、すすみます。
おや、ウサギがいる ぞ。
――ここでね、ウンといきをすいこんで、ひ
ととびにゆくのよ。
 【6】かあさんは、ささやくようにコロン
におしえると、ウン と、いきをすいこみま
す。
 はなのあなが、三かくにひろがり、ひげが
ヒョロリとたれてしまって、とってもへんな
かおです。みたとたん、コロンはククククク
と、わらいだしてしまいました。【7】ウサ
ギはもちろん、ぴょんと、ひととびでサヨナ
ラしてしまいました。
――だめじゃないの、コロンちゃん。
――だって、さっきのかあさんのかお、あん
まりおかしかったんだもの。それに、あのウ
サギのあわてかたったら!
 【8】そしてまた、ククククなのです。か
あさんライオンは、あきらめてかえりました

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 つぎのよるは、ムウでした。
――ムウちゃん、いっしょにいらっしゃい。
 ムウは、だまってついてゆきました。森に
はいると、かあさんライオンはいいました。

――【9】きょうはね、ケモノのつかまえか
たをおしえてあげる の。よくみてらっしゃ
いよ。
 そういうと、からだをしずめて、スススス
スと、しのび足ですすみます。おや、あそこ
にリスがいるわ!――ここでね、ウオーッっ
てほえるの。【0】そしたら、リスはびっく
りして、ちぢみあがっちゃうのよ。そこを、
つかまえるの。
 かあさんは、そうムウにささやくと、あご
がはずれそうに大きく口をひらいて、ウオー
ッとほえました。
 もちろん、リスはビリリリと、でんきがか
かったみたいになってうごけません。
――さあ、おたべ。
 かあさんライオンがムウにいいましたが、
ムウはこたえません。じっと、リスをみつめ
ています。そして、「さあ」と、もういちど
かあさんがすすめると、ムムウと、かおをし
かめるのです。かあさんはびっくりして、ム
ウをみました。
 へんじなし、なのです。
――どうしたの?
 それもそのはず、ムウもうごけなかったの
です!
――あらあら、ムウちゃんまで!
 ごめん、ごめん。
 かあさんライオンは、あわててムウのしっ
ぽを、ちょいとおしてやると、ムウはやっと
うごけましたが、リスのほうもそのすきに、
ひととびで木にかけのぼりました。

「ぽけっとにいっぱい」『三びきのライオン
の子』より(今江 祥智)フォア文庫