長文集  3月3週  ★情報処理能力(感)  1e-03-3
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2012/06/15 08:09:22
 情報処理能力――
 これはまず、コンピューターのことを考え
てください。コンピューターはいま、日進月
歩しています。たとえばA、B、C、Dとい
うふうにたくさんの情報があったとします。
 古いコンピューターは、Bの情報は処理で
きるけれども、AやCやDの情報は処理でき
ないとします。時間もかかる。でも新しいコ
ンピューターで情報処理能力が高まれば、メ
モリーも大きいし、クリックすることもでき
る。AもBもCもDも、処理してしまいま 
す。
 病気というのも、結局、一つの情報にしか
過ぎません。そうすると、古くて情報処理能
力の低いコンピューターは、病気があっても
その病気を情報処理することができないので
、病気を解決することができません。
 ところが、新しいコンピューター、情報処
理能力の高いコンピューターは、AもBもC
もDも、山積みする問題を一瞬のうちに情報
処理してしまいます。病気という情報が処理
されて、病気がなくなってくるわけです。
 この情報処理能力が高い低いというのは、
その人の病気に対する態度だけを見るのでは
なくて、その人がほかの人に対してどういう
態度をとっているのか――ということが非常
に大事になってきま す。
 つまり、自分のことだけを大事にするとか
、好き嫌いが非常にはっきりしているとか、
この人だったら好きだけど、この人だったら
嫌い……。これも結局、情報処理能力が非常
に限られているということになります。
 この情報処理能力がうまくいかない一つの
原因は、生まれたときの「三つ子の魂」とい
う、小さいときの育て方によって変わってき
ます。小さいころに、お父さんとお母さんの
一〇〇%の愛情と、自分が愛されているとい
う気持ちを持って育っていない人は、このコ
ンピューターの情報処理能力が低いまま、大
人になってくるわけです。
 お父さんが非常に怖い人で、いつもその顔
色をうかがいながら大きくなってきたという
ケースでは、その人の心は、そこで傷ついた
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まま、大きくなってこないのです。体は大き
くなってくるけれど も、心が大きくなって
きません。
 情報処理能力が大きくなってこないので、
こういう人たちが病気になったときに、それ
を自然に情報処理する能力がなくなってきま
す。病気という情報体を処理できなくなって
くるのです。これは病気だけではなくて、た
とえばその人の家庭が非常に不幸ばかりであ
るとか、あるいは事故を起こしやすいとか、
あるいは何をやってもうまくいかないとか、
そういうものにも通じてくるわけです。
 病気とは、簡単にいえば、その人の情報処
理能力の低さがそこで浮き彫りにされてくる
――ということです。だから、その情報処理
能力を高めてあげるという治療をすると、病
気だけではなくて、ほかのことも処理できる
ようになってきます。
 心の歪みを治すということは、これによっ
て引き起こされる肉体的病気を治すことにな
りますが、あまりにも肉体的症状にこだわる
方にはこうお話しします。
「私は、肉体的な病気というものにはあまり
興味がありません。私が興味があるのは、そ
の病気を通して、あなた自身の生活や人生を
もっと楽しくする、幸せにすることです。そ
れが私の治療なので、ここが痛い、あっちが
悪い、という話は興味がないのです。だつて
あなたは、あなた自身の肉体的病気だけを治
したとしても、それだけで本当に幸せになれ
ますか?」と。
 私は、病気を通して、その人の人生がより
豊かになるという形の治療を心がけています
。病気を通して、患者さんとそのほかの人々
の人生を豊かにするというチャンスを差し上
げる、そういう治療を目指しているのです。
 肉体的な病気治しは本当に通過点にすぎな
いのです。

 (渋谷直樹著 「すべての存在へ」より)