1. 近代以降の
医療は西洋医学が中心で、西洋医学は
分析医学になって、傷んだ
箇所を物理的に治そうとしてきました。歯が悪ければ悪い
箇所を
削ってつめものをして、それが最良の
治療ということです。
2. 胃が悪ければ胃薬を差し出す。それで胃が治れば医学の勝利なのです。歯がなぜ悪くなったのか、悪くさせないためにはどうしたらいいか、ということには非常に不熱心になってしまいました。ガンのお医者さんはガンを退治することしか考えない。そのための手術が体のどこにどんな
悪影響を
与えるかは知っていても無視する。自分の担当部位が治れば「
俺の勝ち」みたいな一種の
巧名争いが起こっているのです。
3. もし虫歯の予防がうまくいって「痛い、痛い」と言う人が少なくなれば、歯医者さんはやっていけなくなる。だから
極端なことを申せば「治す技術はしっかりありますから、虫歯になっても
大丈夫ですよ」という感じでやってきたわけです。
4. 歯医者に限らず
医療はみんな同じ発想でやっています。その結果、病気の本質が見えなくなってしまった。そのことを
端的に示しているのが最近言われ始めた「胃ガンピロリ
菌説」ではなかろうかと思うのです。
5. 胃ガンの人を調べると、胃の中にヘリコバクスター・ピロリという
菌がいる。この
菌が胃ガンを作る
元凶だとマスコミなどでも報じられていますが、こういう結論のもって行き方が現代の
特徴なのです。
6. 私に言わせれば、なるほど胃ガンの人の胃の中にはピロリ
菌はいるだろう。しかしピロリ
菌が胃ガンを作った確証はない。胃ガンになったからピロリ
菌が住むようになったと考えることだってできると思います。因果関係は全然わかっていないのですから。それにもかかわらず「ピロリ、ピロリ」と
騒いでいる。波動的な考え方をしますと、胃ガンになるからピロリ
菌というものがたぶん出てくるのであろうと、そういうふうに推定できます。原因と結果を
取り違えているのです。結果と見えていることは実は原因であり、原因と思われることは結果である。そういう見方も必要と思います。∵
7. ガンについては発ガン物質がどうの、やれ
煙草がいけない、食品
添加物の中には発ガン物質がいっぱい入っていると
騒いでいますが、ガンの原因は全然別のところにあって、いま言われているような物質は、全然関係ないとは言いませんが、その
関与の仕方は現在言われているのとずいぶん
違っているように思われます。
8. たとえば、O−157という
大腸菌が各地で食中毒を起こしました。そうすると「手をきれいに洗いなさい」「よく熱を通して食べなさい」と食品衛生の専門家がテレビなどで指導をしています。これは一見正しいようでどこか
違っている。注目しなければいけないのは、食中毒にかかった子供ではなく、同じものを食べて平気だった子供のほうです。
9. 同じ物を食べて中毒を起こす子供と起こさない子供がいた。起こさなかった子供はその
菌が口から入らなかったのか。そうではないでしょう。食べたけれども
抵抗力があって中毒にならなかったのです。こちらに着目すれば新しい視点が開けます。
10. (「
蘇生力」中根
滋 ビジネス社より)