長文集  6月3週  ★近代以降の医療は(感)  1a-06-3
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2012/06/15 08:09:22
 近代以降の医療は西洋医学が中心で、西洋
医学は分析医学になって、傷んだ箇所を物理
的に治そうとしてきました。歯が悪ければ悪
い箇所を削ってつめものをして、それが最良
の治療ということで す。
 胃が悪ければ胃薬を差し出す。それで胃が
治れば医学の勝利なのです。歯がなぜ悪くな
ったのか、悪くさせないためにはどうしたら
いいか、ということには非常に不熱心になっ
てしまいました。ガンのお医者さんはガンを
退治することしか考えない。そのための手術
が体のどこにどんな悪影響を与えるかは知っ
ていても無視する。自分の担当部位が治れば
「俺の勝ち」みたいな一種の巧名争いが起こ
っているのです。
 もし虫歯の予防がうまくいって「痛い、痛
い」と言う人が少なくなれば、歯医者さんは
やっていけなくなる。だから極端なことを申
せば「治す技術はしっかりありますから、虫
歯になっても大丈夫ですよ」という感じでや
ってきたわけです。
 歯医者に限らず医療はみんな同じ発想でや
っています。その結 果、病気の本質が見え
なくなってしまった。そのことを端的に示し
ているのが最近言われ始めた「胃ガンピロリ
菌説」ではなかろうかと思うのです。
 胃ガンの人を調べると、胃の中にヘリコバ
クスター・ピロリという菌がいる。この菌が
胃ガンを作る元凶だとマスコミなどでも報じ
られていますが、こういう結論のもって行き
方が現代の特徴なのです。
 私に言わせれば、なるほど胃ガンの人の胃
の中にはピロリ菌はいるだろう。しかしピロ
リ菌が胃ガンを作った確証はない。胃ガンに
なったからピロリ菌が住むようになったと考
えることだってできると思います。因果関係
は全然わかっていないのですから。それにも
かかわらず「ピロリ、ピロリ」と騒いでいる
。波動的な考え方をしますと、胃ガンになる
からピロリ菌というものがたぶん出てくるの
であろうと、そういうふうに推定できます。
原因と結果を取り違えているのです。結果と
見えていることは実は原因であり、原因と思
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われることは結果である。そういう見方も必
要と思います。∵
 ガンについては発ガン物質がどうの、やれ
煙草がいけない、食品添加物の中には発ガン
物質がいっぱい入っていると騒いでいます 
が、ガンの原因は全然別のところにあって、
いま言われているような物質は、全然関係な
いとは言いませんが、その関与の仕方は現在
言われているのとずいぶん違っているように
思われます。
 たとえば、O-157という大腸菌が各地
で食中毒を起こしました。そうすると「手を
きれいに洗いなさい」「よく熱を通して食べ
なさい」と食品衛生の専門家がテレビなどで
指導をしています。これは一見正しいようで
どこか違っている。注目しなければいけない
のは、食中毒にかかった子供ではなく、同じ
ものを食べて平気だった子供のほうです。
 同じ物を食べて中毒を起こす子供と起こさ
ない子供がいた。起こさなかった子供はその
菌が口から入らなかったのか。そうではない
でしょう。食べたけれども抵抗力があって中
毒にならなかったのです。こちらに着目すれ
ば新しい視点が開けます。
 (「蘇生力」中根滋 ビジネス社より)