長文 5.3週
1. 人はよく「波長が合う」「合わない」ということを言います。ある人と初めて会って話をしたら、すごく気が合ってたちまち仲良しになった。あるいは何度会っても、打ちとけられず、会わなければならないのだが、いつも気がすすまない−−−−人間関係では理屈りくつの前にこういう感情が先行することがよくあります。
2. 波動理論ではこれを共鳴、非共鳴という言葉で表現しています。共鳴というのは、人間世界での用語では「同じ思想や考え方で一致いっちすること」ですが、科学的には「振動しんどう体や電気回路に固有振動しんどう数と等しい振動しんどうを外部から与えあた たとき、振動しんどうはばが大きくなること」を意味しています。
3. このニつの共鳴の定義は関連性があります。私たちはある人と会って、その人と自分の考えが同じであったようなとき、うれしくなって一挙に親密度が増しますが、これは私たち自身が振動しんどう体であり電気回路の一種ですから、同じ振動しんどう与えあた られると、それまで自分の中にあった固有の振動しんどうがより増幅ぞうふくされるのです。
4. 自分の考えに同調する人がいると、その考えに確信が持てるのは、こういう理屈りくつでとらえると納得がいくと思います。波動効果というものは、共鳴することでプラス波動としての効果を発揮し、非共鳴の場合はマイナス波動を生じさせるのです。
5. つまり波動が合うと共鳴し、波動が合わなければ非共鳴になる。よく一目惚れほ というのがありますが、あれなどはお互い たが が持っている波動がほとんど一致いっちする場合です。好きな人でも波動が合わないとぎくしゃくする。そういう人とはいくらつき合っても共鳴現象が起きずに破綻はたんすることになります。
6. ただ人間の持つ波動は、非常に複雑な合成波ですから、ある部分の波動が合わなくても、根本のところにある波動が合うということも考えられる。たとえば同じ郷里の出身者は、その士地の磁場(地球には磁場があり、地域によって磁場は異なる。これを磁気的波動とも言います)を身体に受けて育ってきているので、身体のどこかで波動の共有が見られます。∵
7. お互い たが がその部分で共鳴すれば、他の面で波動が合わなくても、人間関係がうまく行くことも大いにありえます。また病気になったとき、故郷へ戻るもど と治ることがある。これは水、食物も含めふく て、その土地固有の波動が身体と共鳴しやすいからです。
8. 初めて会ったばかりなのに「一杯いっぱい飲みに行きましょうか」となるのは、波動が合っている、共鳴しているということなのです。逆に「こいつとは飲みたくないな」と違和感いわかんを感じるようだったら、少なくともその時点での波動が共鳴しないのです。
9. かれ彼女かのじょの発する波動が共鳴すれば、両方が一目惚れほ して愛が芽生えるし、波動が合わないと共鳴現象が起きず、片思いに終わることになってしまいます。こういうことはたぶん皆さんみな  も何度か経験されていることと思います。
10. それではそんなとき、あなたはいままでどうしておられましたか。私だったら、一歩さがって相手が共鳴できるような波動を自分が持つよう心がけます。自分が許容できる範囲はんい内で相手に自分の波動を近づけるのです。そうすると相手のことがわかってきますし、相手も自分を理解してくれます。
11. いじめ問題というのも波動の側面から考えれば、いじめる側もいじめられる側も、波動の乱れが生じ、それが原因となって悲しい出来事が起きていると思われます。なぜそんなに波動が乱れるのか。家庭、学校、地域社会、マスコミ媒体ばいたい、子供を取り巻くすべての社会の波動が乱れ、歪みゆが が生じているからと言えるでしょう。
12. 子供というのは、周囲の波動を敏感びんかんに感じ取ります。自分が発するよりも受けるほうが大きいのです。そうやって敏感びんかんに感じ取ってしまった波動の乱れが、純真で正常だったはずの子供の心に、悪いものを植えつけてしまう。しかし良いものも植えつけることも容易なのですから、大人は子供に良い波動を植えつけるようにしてあげなければいけない。いまはそれができていないのです。
13. (「蘇生そせい力」中根しげる ビジネス社より)