1. 【1】アメリカのモンタナ
州は、
ジュラ紀や白
亜紀の
恐竜の
化石がたくさん
発見される
場所です。このあたりで、タマゴの
殻の
破片のようなものがたくさん見つかり、これが
大発見につながりました。【2】タマゴの
殻の
周辺をさらに
調査すると、
直径三メートルほどもある、クレーターのような形の
巣が見つかったのです。この
巣の中から、赤ちゃん
恐竜の
化石がたくさん出てきました。【3】これは、この
場所でカモノハシ
竜のタマゴが
孵化したことを
示しています。また
周辺からは、大人のカモノハシ
竜の
化石が見つかりました。
2. 【4】タマゴの
殻が細かく
割れている
理由は、赤ちゃん
恐竜が足で
踏みつけたからでしょう。つまり、タマゴからかえった赤ちゃんは、しばらく
巣の中で生活していたということになります。【5】
巣の中から見つかった赤ちゃんの
骨は、大きさがさまざまで、いちばん小さいものは
全長二十五センチメートル、大きなものは一メートルほどありました。【6】
恐竜の親は、赤ちゃんが生まれてから一メートルの大きさに
成長するまで、エサをあげて
子育てをしていたのでしょう。これは、親鳥が
巣の中のヒナにエサを
運ぶのとよく
似ています。【7】このカモノハシ
竜の
仲間には、「よいお母さん
恐竜」という
意味のマイアサウラという学名がつけられました。
3.
更に、
巣の中をよく
調べてみると、
植物の
破片の
化石が数多く見つかりました。これは、親が子に
運んだエサの
植物とは
違うものです。【8】なぜエサでもない
植物が、たくさん
発見されたのでしょう。
4. 鳥はタマゴを生むと、タマゴの上に
乗って
温めつづけます。タマゴがかえるには、
一定期間決まった
温度を
保つ必要があるからです。
恐竜の場合はどうでしょう。【9】マイアサウラの親の大きさは八メートル近くあり、
体重は何トンもあったと考えられます。これでは、タマゴの上に
乗って
温めるわけにはいきません。そこで、自分が
温める代わりに、タマゴの上を
植物でおおって
温度を
保ったのです。【0】∵こうしておけば、
直射日光で
暑くなりすぎたり、夜間に
冷えすぎることもありません。また、
植物は
発酵によって
熱を出すので、それによってタマゴを少しずつ
温めることができます。
5. このような
巣は、同じ
場所から
複数見つかっています。マイアサウラは
集団で
子育てをしていたのでしょう。生まれたばかりの赤ちゃん
恐竜は弱く、
敵にねらわれやすいのですが、
集団を作って生活をしていれば、いつも大人のマイアサウラが赤ちゃんを
守ることができます。
6.
発見された
化石は、これまでわからなかった
恐竜の
行動を、
私たちに教えてくれるものでした。
化石をくわしく
調べることで、
私たちは
大昔の
恐竜の生活の
仕方まで知ることができたのです。
7.
言葉の森
長文
作成委員会 κ