1. 【1】
西洋には「トマトが赤くなると
医者が青くなる」ということわざがあります。
真っ赤に
実ったトマトを食べると、お
医者さんが
困るほど、だれも
病気にならない、という
意味です。【2】これは少々大げさな言い方だとしても、トマトの赤さのもと、リコピンには
病気を
予防する
働きがあります。また、トマトには、ビタミンCも多くふくまれています。
2. 【3】このことわざとそっくりなもので、日本には「
柿が赤く色づくと
医者の顔が青くなる」という
言葉があります。
柿にはビタミンやミネラルが
豊富に
含まれています。また、
柿の
葉っぱや
渋にも多くの
栄養素が
備わっています。【4】おもしろいのはカキのヘタの
部分で、しゃっくりを止める
働きがあるということです。
3. イギリスには、「一日にひとつのリンゴは
医者を遠ざける」ということわざがあります。【5】リンゴには
病気を
予防したり、
回復に
役立ったりする作用があるからです。「サンマが出ると
医者が
引っ込む」などというのもあります。このように
身近な
食べ物がことわざになっているものは少なくありません。
4.【6】「秋ナスは
嫁に食わすな」ということわざがあります。これはおいしい秋ナスを、お
姑さんがお
嫁さんにわざと食べさせない、と考える人もいます。【7】しかし
実は、秋にとれるナスは体を
冷やすので、これから子どもを生み
育てるお
嫁さんには食べさせすぎないように、という
心遣いがこめられているとも言われています。さて本当はどちらでしょうか。
5. 【8】このほかにも、ヨーロッパでは、「レタスは
恋の
炎をしずめる」という言い方があります。レタスの切り口から出てくる白い
汁には、
精神を
安定させたり、
眠気をさそったりする
働きがあるのを、しゃれた言い回しで
表しているのです。∵
6. 【9】
変わったところでは、「ミョウガを食べると
物忘れをする」というのもあります。これは
次のような話から
伝わったとされています。
昔、
お釈迦様の弟子で
物忘れの
激しい人がいました。【0】その人は自分の名前も
覚えられなかったので、
お釈迦様が
名札を首にかけてあげました。やがて、その人が
亡くなったあと、お
墓のまわりに見知らぬ
植物が生えました。それが「
茗荷」と名づけられた、というお話です。しかし、ミョウガを食べると
物忘れをするということはありません。
逆にミョウガの
香りには
集中力を高める
効果があるそうです。
7. 「
大豆は
畑の肉」「アボカドは森のバター」「カキは海のミルク」などなど、
簡潔なたとえにされているものも数多くあります。どれも
実にうまく
食べ物の
効用を
表しています。
8.
言葉の森
長文
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