長文集  12月1週  ○食べ物のことわざ  0u-12-1
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2014/09/04 15:50:11
 【1】西洋には「トマトが赤
くなると医者が青くなる」とい
うことわざがあります。真っ赤
に実ったトマトを食べると、お
医者さんが困るほど、だれも病
気にならない、という意味で 
す。【2】これは少々大げさな
言い方だとしても、トマトの赤
さのもと、リコピンには病気を
予防する働きがあります。また
、トマトには、ビタミンCも多
くふくまれています。
 【3】このことわざとそっく
りなもので、日本には「柿が赤
く色づくと医者の顔が青くな 
る」という言葉があります。柿
にはビタミンやミネラルが豊富
に含まれています。また、柿の
葉っぱや渋にも多くの栄養素が
備わっていま す。【4】おも
しろいのはカキのヘタの部分 
で、しゃっくりを止める働きが
あるということです。
 イギリスには、「一日にひと
つのリンゴは医者を遠ざける」
ということわざがあります。【
5】リンゴには病気を予防した
り、回復に役立ったりする作用
があるからです。「サンマが出
ると医者が引っ込む」などとい
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うのもありま す。このように
身近な食べ物がことわざになっ
ているものは少なくありません

【6】「秋ナスは嫁に食わすな
」ということわざがあります。
これはおいしい秋ナスを、お姑
(しゅうとめ)さんがお嫁さん
にわざと食べさせない、と考え
る人もいます。【7】しかし実
は、秋にとれるナスは体を冷や
すので、これから子どもを生み
育てるお嫁さんには食べさせす
ぎないように、という心遣いが
こめられているとも言われてい
ます。さて本当はどちらでしょ
うか。
 【8】このほかにも、ヨーロ
ッパでは、「レタスは恋の炎を
しずめる」という言い方があり
ます。レタスの切り口から出て
くる白い汁に は、精神を安定
させたり、眠気をさそったりす
る働きがあるのを、しゃれた言
い回しで表しているのです。∵
 【9】変わったところでは、
「ミョウガを食べると物忘れを
する」というのもあります。こ
れは次のような話から伝わった
とされていま す。昔、お釈迦
様の弟子で物忘れの激しい人が
いました。【0】その人は自分
の名前も覚えられなかったので
、お釈迦様が名札を首にかけて
あげました。やがて、その人が
亡くなったあ と、お墓のまわ
りに見知らぬ植物が生えまし 
た。それが「茗荷」と名づけら
れた、というお話です。しかし
、ミョウガを食べると物忘れを
するということはありません。
逆にミョウガの香りには集中力
を高める効果があるそうです。
 「大豆は畑の肉」「アボカド
は森のバター」「カキは海のミ
ルク」などなど、簡潔なたとえ
にされているものも数多くあり
ます。どれも実にうまく食べ物
の効用を表しています。

 言葉の森長(ちょう)文作成
委員会 α