0ウツギ の山 11 月 4 週 (5)
○カエルの秘密   池新  
 カエルは両生類ですから、陸上の生活にも水中の生活にも、どちらにも都合のよい体のつくりをしています。
 まず、体全体を見てみましょう。先のとがった頭、首がなく頭がそのまま体につながった形は、水を切って泳ぐのに大変便利です。
 うしろ足は、指と指のあいだに薄い膜がある水かきになっていて、水をいきおいよく蹴ることができます。しかし、水かきが小さく、泳ぐのがへたなカエルもいます。それは、ヒキガエルで、卵をうむときのほかには、ほとんど水に入りません。また、アマガエルやモリアオガエルは、指先に何にでも吸いつく吸盤がついていて、木の枝や葉に登って暮らします。
 カエルのうしろ足の腿は、丈夫な筋肉がはりめぐらされていて、水や地面を強く蹴ることができます。アメリカのカリフォルニアでは、毎年世界中からカエルを集めて、カエルとび大会がひらかれます。ウシガエルは三段跳びのチャンピオンで、これまでに五メートルという記録がのこっています。これは体の長さの約二十五倍です。人間は、オリンピックの選手でもせいぜい身長の約十倍ですから、大変な跳躍力です。
 カエルは夜行性の動物です。昼は穴の中や茂みに隠れていて、夜になると活発に動きまわります。その暮らしに合うように、昼は瞳を絞りこんで光をおさえ、夜は、少しの光でも物が見えるように瞳を全部開きます。
 目の構造も変わっています。人間とは反対に目の下まぶたが動きます。陸にいるとき、下まぶたは下がったままですが、水の中に潜ると、さっと下まぶたが上に動いて目を覆ってしまいます。下まぶたが透明ですから、ちょうど備えつけの水中メガネのようです。∵
 カエルには、このほかにも変わった種類がいます。
 ヒックリカエル、デングリガエル、イキカエル、ツッカエル、ソリカエル、キガエル、ハキカエル、トッカエル。それでは、そろそろ、モウカエル。

 言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会(Κ)