長文 11.2週
1. 左むねの下の方に手を当ててみると、心臓しんぞうがドキドキと規則正しくきそくただ  動いうご ているのがわかります。心臓しんぞうは、全身ぜんしん血液けつえき送り出すおく だ ポンプの役割やくわりをしています。心臓しんぞうは、動物どうぶつが生きているかぎり、休みなく動きうご 続けつづ ます。動物どうぶつが生きていられるのは、心臓しんぞうが休むことなく体のすみずみまで血液けつえき送りおく 続けつづ ているからなのです。
2. 血液けつえきは体中に酸素さんそ栄養分えいようぶん運びはこ ます。酸素さんそは、いき吸うす ことによってはいから血液けつえきの中に取り入れと い られます。栄養分えいようぶんは、食べ物た もの摂取せっしゅすることによってちょうから血液けつえきの中に取り入れと い られます。心臓しんぞうは、昼も夜も休むことなく働きはたら 続けつづ ています。もし、心臓しんぞう休憩きゅうけいしたら、酸素さんそ栄養分えいようぶんが体に回らなくなってしまいます。いくらわたしたちが「栄養えいようはもうええよう。」と言っても、心臓しんぞうはその動きうご を止めません。 
3. 激しいはげ  運動うんどうをしたり、緊張きんちょうしたりすると、心臓しんぞう鼓動こどう速くはや なります。これは、体や頭が酸素さんそ栄養分えいようぶんをたくさん必要ひつようとするため、血液けつえき流れなが 速くはや しようと心臓しんぞう動きうご 活発かっぱつになるからです。
4. 血液けつえき仕事しごとは、酸素さんそ栄養分えいようぶん送り届けるおく とど  ことだけではありません。不要ふようになったものを回収かいしゅうする働きはたら もしています。二酸化炭素にさんかたんそ老廃ろうはいぶつ回収かいしゅうしてくれるのです。酸素さんそ栄養分えいようぶんが通る血管けっかん動脈どうみゃく二酸化炭素にさんかたんそ老廃ろうはいぶつが通る血管けっかん静脈じょうみゃくといいます。 
5. 心臓しんぞうは、にぎりこぶしくらいの大きさで、こぶしをにぎったり、ゆるめたりするような動きうご をくりかえしながら、体中に血液けつえき循環じゅんかんさせています。心臓しんぞうは、手や足の筋肉きんにくとは違うちが 非常ひじょう丈夫じょうぶ特別とくべつ筋肉きんにくでできています。また、のうからの命令めいれい動いうご ているのではないことも一つの特徴とくちょうです。ふつう、体の筋肉きんにくは、のう命令めいれい動いうご ていますが、心臓しんぞうの場合はのう命令めいれいとは関係かんけいなく、ひとりでにちぢんだり、ふくらんだりしているのです。∵
6. さて、心臓しんぞうのドキドキという音ですが、この音は心臓しんぞうの中についているべん閉じると  ときの音です。ストーブに石油せきゆを入れるポンプを思い浮かべおも う  てみましょう。ポンプで石油せきゆ吸い込むす こ とき、まず下のふたが開いひら 石油せきゆ吸い込みす こ ます。その石油せきゆ吸い込みす こ 終わるお  と、ふたはすぐに閉じと てしまいます。次につぎ 石油せきゆ送り出すおく だ ときには、べつのふたが開いひら 石油せきゆべつの方に流れなが ていきます。ポンプは、二つのふた、つまりべん開いひら たり閉じと たりしながら、石油せきゆ送り出しおく だ ているのです。
7. 心臓しんぞうもこの石油せきゆポンプと同じしくみになっています。心臓しんぞうの中にもふたがあり、このふたが開いひら たりしまったりしながら、血液けつえき送り出しおく だ ています。心臓しんぞうべんは、流れなが 血液けつえきぎゃく周りまわ になって戻っもど てこないように、音がするほど強くしめます。この音がドキドキという音になって聞こえるわけです。 
8. 哺乳類ほにゅうるい鳥類ちょうるい心臓しんぞうは、田んぼの田の字の形のように四つの部屋へやに分かれています。爬虫類はちゅうるい両生類りょうせいるい心臓しんぞうは三つの部屋へやに、魚類ぎょるい心臓しんぞうは二つの部屋へやに分かれています。石油せきゆポンプにはもちろん一つの部屋へやしかありません。部屋へやが分かれていると、それぞれの部屋へや役割やくわり分担ぶんたんできるので、心臓しんぞう性能せいのうがよくなります。
9. 人間の心臓しんぞうは、田の字の向かっむ  て左上から体中の汚れよご 回収かいしゅうし、それを左下に集めあつ はい送り込みおく こ ます。はいできれいになった血液けつえきは田の字の右上で集めあつ られ、右下から勢いいきお よく再びふたた 全身ぜんしん流れなが ていきます。

10. 言葉ことばの森長文ちょうぶん作成さくせい委員いいん会(Λ)