長文集  11月2週  左胸の下の方に  0u-11-2
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2014/09/11 11:46:36
 左胸の下の方に手を当ててみ
ると、心臓がドキドキと規則正
しく動いているのがわかりま 
す。心臓は、全身に血液を送り
出すポンプの役割をしています
。心臓は、動物が生きているか
ぎり、休みなく動き続けます。
動物が生きていられるのは、心
臓が休むことなく体のすみずみ
まで血液を送り続けているから
なのです。
 血液は体中に酸素や栄養分を
運びます。酸素は、息を吸うこ
とによって肺から血液の中に取
り入れられます。栄養分は、食
べ物を摂取することによって腸
から血液の中に取り入れられま
す。心臓は、昼も夜も休むこと
なく働き続けています。もし、
心臓が休憩したら、酸素や栄養
分が体に回らなくなってしまい
ます。いくら私たちが「栄養は
もうええよう。」と言っても、
心臓はその動きを止めません。
 
 激しい運動をしたり、緊張し
たりすると、心臓の鼓動が速く
なります。これは、体や頭が酸
素や栄養分をたくさん必要とす
るため、血液の流れを速くしよ
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うと心臓の動きが活発になるか
らです。
 血液の仕事は、酸素や栄養分
を送り届けることだけではあり
ません。不要になったものを回
収する働きもしています。二酸
化炭素や老廃物を回収してくれ
るのです。酸素や栄養分が通る
血管は動脈、二酸化炭素や老廃
物が通る血管は静脈といいます
。 
 心臓は、にぎりこぶしくらい
の大きさで、こぶしをにぎった
り、ゆるめたりするような動き
をくりかえしながら、体中に血
液を循環させています。心臓は
、手や足の筋肉とは違う、非常
に丈夫な特別の筋肉でできてい
ます。また、脳からの命令で動
いているのではないことも一つ
の特徴です。ふつう、体の筋肉
は、脳の命令で動いていますが
、心臓の場合は脳の命令とは関
係なく、ひとりでにちぢんだり
、ふくらんだりしているのです
。∵
 さて、心臓のドキドキという
音ですが、この音は心臓の中に
ついている弁が閉じるときの音
です。ストーブに石油を入れる
ポンプを思い浮かべてみましょ
う。ポンプで石油を吸い込むと
き、まず下のふたが開いて石油
を吸い込みま す。その石油を
吸い込み終わると、ふたはすぐ
に閉じてしまいます。次に、石
油を送り出すときには、別のふ
たが開いて石油が別の方に流れ
ていきます。ポンプは、二つの
ふた、つまり弁を開いたり閉じ
たりしながら、石油を送り出し
ているのです。
 心臓もこの石油ポンプと同じ
しくみになっています。心臓の
中にもふたがあり、このふたが
開いたりしまったりしながら、
血液を送り出しています。心臓
の弁は、流れた血液が逆周りに
なって戻ってこないように、音
がするほど強くしめます。この
音がドキドキという音になって
聞こえるわけです。 
 哺乳類や鳥類の心臓は、田ん
ぼの田の字の形のように四つの
部屋に分かれています。爬虫類
や両生類の心臓は三つの部屋に
、魚類の心臓は二つの部屋に分
かれています。石油ポンプには
もちろん一つの部屋しかありま
せん。部屋が分かれていると、
それぞれの部屋で役割を分担で
きるので、心臓の性能がよくな
ります。
 人間の心臓は、田の字の向か
って左上から体中の汚れた血を
回収し、それを左下に集めて肺
に送り込みます。肺できれいに
なった血液は田の字の右上で集
められ、右下から勢いよく再び
全身に流れていきます。

 言葉の森長文(ちょうぶん)
作成委員会( Λ)