長文集  10月2週  ○クロソラスズメダイは  0u-10-2
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2014/09/04 14:42:29
 クロソラスズメダイは、イト
グサという藻をえさにしていま
す。スズメダイはさんご礁にす
みますが、沖縄の琉球列島のク
ロソラスズメダイは、このさん
ご礁の中にたくさんのイトグサ
を育てています。自分で自分の
えさを育てているので、「自給
自足」というわけです。 
 では、クロソラスズメダイは
どんなふうにイトグサを育てる
のでしょう。さんご礁の中には
イトグサ以外にもたくさんの種
類の藻が生息しています。クロ
ソラスズメダイは、自分が食べ
るイトグサ以外の藻類が成長し
始めると、口でそれを抜き取り
ます。イトグサは、こうしたク
ロソラスズメダイの保護なしに
は、生存競争にやぶれて、その
場所は、他の藻類に覆われてし
まうのです。
 クロソラスズメダイは、自分
の育てているイトグサを食べて
しまうニザダイや、時にはウツ
ボのような肉食性の生き物をも
追いはらい、自分の藻を大切に
守ります。ですから、ライバル
がいなくなったイトグサはぐん
ぐん大きくなれるわけです。イ
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トグサは、「クロソラスズメダ
イさん、ありがとう。ウツボの
思うつぼにならなくてよかった
よ。おれいにぼくを食べてね」
といっているようです。 
 クロソラスズメダイは一匹(
ぴき)一匹(ぴき)がなわばり
を持つ魚ですが、自分のなわば
りの中にあるえさの藻だけを管
理して、まるで芝生のようにし
げらせています。
 似た例で、アメリカ大陸に、
キノコを育てるハキリアリがい
ます。自分の巣の中に葉っぱを
運び込み、それを噛み砕いた中
でキノコを育てるのです。ハキ
リアリは、はりきってキノコを
育てるので、キノコはアリの巣
の中で、ありがたいことだと思
っていることでしょう。

 言葉の森長文(ちょうぶん)
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