1. 「人魚
姫」に
登場する
魔女や、
海賊映画に出てくる海の
魔物は、なぜかタコの
姿をしています。外国では、「人
喰い○○」といえば、サメではなくタコを
思い浮かべる人もたくさんいます。日本人のように、タコはこっけいでしかもおいしい、と考えるのはどちらかといえば少数
派なのです。
2. 長らく
怪物扱いされてきたタコですが、
最近の
研究によると、この
生き物は、
実はとても
賢いということが分かってきました。
3. タコは、
無脊椎動物の中ではきわめて
高度に
発達した
脳を
持っています。ある科学
者は、
蓋のついたびんに
好物のえさを入れ、タコに
与えてみました。するとどうでしょう。タコは
試行錯誤の
末見事に
蓋を回してえさにありついたのです。また、ある
水族館での話では、
一匹のタコは夜な夜な
排水管を
伝って
隣の
水槽に
忍び込み、魚を食べていたということです。この
動物は、
経験からいろいろなことを
学習していくのです。
4. タコの数ある
特技のうちでも
特に珍しいのは、その
独特の
変身術です。あまり
見事に
変身するので、海に
慣れたダイバーたちでさえ、タコのすぐそばを
泳いでいながらその
存在に
全く気づかないことがあります。このため、タコは、「海のカメレオン」とも
呼ばれています。
5. この
芸当を
可能にするのは、その
特殊な
皮膚の作りです。タコの
皮膚には、
色素を
持つ細胞が二百万
個ほどもあります。一
平方ミリメートルあたり
約二百
個という数です。そして、それぞれの
細胞には赤か黄か黒の
色素が
含まれています。タコは、その
細胞を
取り巻いている
筋肉を
縮めたり
緩めたりして、
無地になったり
模様入りになったりと、またたく
間に
変身します。タコは
皮膚の
質感を
変化させることもできます。岩にへばりつき、
皮膚をそのごつごつした
岩肌に
似せて、
完全に岩になりきるのです。∵
6.
最近発見されたミミックオクトパスというタコは、さらにうわてです。形や
動き方まですっかりまねて、ほかの
生物そのものに
化けてしまうのです。そのレパートリーは
幅広く、ヒラメ、ウミヘビ、エビなど何にでも
変身してしまいます。ヒラメに
化けたタコに、
仲間と
勘違いした
本物のヒラメがついてくることもあります。これでは
天敵もすっかりだまされてしまうでしょう。この
賢い「海のカメレオン」は、まさにアカデミー
賞ものの
名優なのです。
7.「タコさん、人間にも
化けることができるんですか。」
8.「さあ、それはやっタコとないなあ。」
9.「
近所のおじさんが、そうみたいなんですけど。」
10.「わあい、言っちゃおう。」
11.
言葉の森
長文作成委員会(Μ)