長文集  10月3週  ○今、地球上には  00u-10-3
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2014/09/04 14:52:38
 今、地球上には、百五十万種類を超える生
物がいます。そのうちの八十万種類が昆虫で
、四十万種類が動物で、残りの三十万種類が
植物です。もし、世界が十種類の生物の村だ
ったら、五種類が昆虫で、三種類が動物で、
残りの二種類が植物ということになります。
昆虫の種類がずいぶん多いということがわか
ります。もしかする と、昆虫がこの地球で
いちばん元気よく暮らしていると言えるのか
もしれません。そう言えば、ゴキブリなどは
、元気のかたまりのようです。
 生物は、約三十億年前に原始的な生物から
進化してきました。進化の過程で絶滅した生
物も含めると、今の生物の種類の百倍、一億
五千万種類もの生物がいたと推定されていま
す。
 どの生物も自分が生きるのに都合のよい形
をしています。例え ば、キリンは首が長い
ので、遠くにいる敵を見つけたり、高い木の
枝の葉を食べたりすることができます。ゾウ
は鼻が長いので、自分の鼻をホースがわりに
したり、鼻を手のように使ったりすることが
できます。三グラムしかないジネズミは、自
分の小ささをうまく生かして生きています。
逆に百三十トンもあるクジラも、自分の大き
さをうまく生かしていきています。このジネ
ズミとクジラがシーソーをしたとすると、つ
りあいを取るためには、一頭のクジラの反対
側に、四千万匹(びき)以上ものジネズミが
ぶらさがらなければなりません。これぐらい
違いのある生物がそれぞれ、自分の長所を上
手に生かして生きているのです。
 このように多くの種類の生物がいる理由を
、昔は、神様が作ったからだと考えていまし
た。しかし、いくら神様でも、百五十万種類
もの生物を作るのは大変です。それでも、昔
の人は、神様ならそういう神業ができると考
えていたのです。
 十八世紀に、ゾウの化石を研究した学者が
、生物の中には既に絶滅したものがあるとい
うことを発見しました。ラマルクは、この∵
考えを発展させて、生物の種(しゅ)が変化
するという説を述べました。例えば、キリン
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は、高いところに生えている葉を食べるため
に、首を長く伸ばしているうちに、今のよう
なキリンになったと言うのです。
 しかし、この説には重大な弱点がありまし
た。確かに一頭のキリンの一生に関して言え
ば、高いところの葉を食べようとしているう
ちに、だんだんと首が長くなるということは
言えるかもしれませ ん。しかし、その首の
長さがそのまま子供に受け継がれるかどうか
ということはわかりません。
 みなさんのお父さんやお母さんが子供のと
きにしっかり勉強してくれたおかげで、あな
たは生まれつき何でも知っていたということ
になれば、これほどいいことはありません。
しかし、実際には、あなたはあなたでまた最
初からお父さんやお母さんがしたのと同じ勉
強をしなければなりません。こういうことを
見ると、親の獲得した能力がそのまま子供に
受け継がれるということはないようです。
 ラマルクの説を批判する学者は、次のよう
な実験をしました。まず、ネズミのしっぽを
短く切ってしまいます。ネズミにはかわいそ
うですが、しっぽだけなので命には別状がな
かったというところが少しほっとするところ
です。このしっぽを切ったネズミから生まれ
たネズミのしっぽも、また短く切ってしまい
ます。このようにし て、何代もしっぽを短
く切ったにもかかわらず、生まれる子供はい
つもしっぽの長いネズミでした。
 しかし、この実験は、ラマルクの説を批判
するにはあまり確かなものとは言えませんで
した。なぜなら、ネズミは自分から進んでし
っぽを短くしようとしたのではなく、無理矢
理しっぽを短くさせられたからです。この実
験のために何匹(びき)ものネズミのしっぽ
を切った学者は今ごろ、「しっぽの実験はし
っぽい(失敗)だったなあ」と思っているか
もしれません。
 言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会(
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