長文集  10月1週  ○機械の記憶と生き物の記憶(感)  00u-10-1
    毎日1ページ音読しましょう。漢字はふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。  2010/07/23 15:38:49
 【1】コンピュータは、あることを覚えさ
せれば一度で間違いなく記憶します。しかし
、生き物はそうではありません。
 【2】記憶の実験で、ネズミを、ブザーが
鳴ったときにレバーを押すと餌をもらえるよ
うな仕組みの箱に入れておきます。【3】ネ
ズミは、ブザーとレバーと餌の関係に気がつ
くまで、何十回も何百回(なんびゃっかい)
も試行錯誤を繰り返します。そして、やが 
て、ブザーが鳴ったときにレバーを押せばよ
いのだということを記憶します。【4】正し
いやり方を覚えるまでに、間違ったやり方を
何回も繰り返して失敗することが必要なので
す。
 生き物のこの記憶の仕方は、実は生きるた
めに役立っています。【5】もし、ブザーと
レバーの関係を記憶した人間が、ブザーのか
わりにサイレンが鳴り、レバーのかわりにボ
タンが置いてあるような場所に置かれたとす
ると、人間はブザーとレバーの関係から類推
して、サイレンとボタンの関係にやがてすぐ
に気がつくでしょう。【6】しかし、機械は
、いつまでたってもブザーとレバーの関係か
ら新しい考えに移ることができません。
 【7】生き物は、高等になるほど曖昧な記
憶の仕方ができるようになります。私たちは
、ある人が別の服を着て現れても、それが同
じ人だということがわかります。【8】もし
記憶が、機械のように正確なものであったな
ら、違う服を着ている人は違う人だと思って
しまうでしょう。【9】そのような記憶では
、生き物は変化の激しい世界の中で生き続け
ることができなかったはずです。数多くの失
敗を通して覚えるところに、生き物の記憶の
秘密があるのです。【0】

 言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会 
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