00イバラ の山 8 月 2 週 (5)
○江戸時代の飛脚(感)   池新  
 【1】現代は携帯電話という便利なものがありますが、昔は情報ひとつ運ぶのも大変でした。【2】手紙にして、相手のいるところにまでとどけなくてはなりません。もちろん荷物を運ぶトラックも鉄道もない時代です。
 【3】江戸時代、このような郵便や宅配便の仕事をしていたのが飛脚でした。戦乱の世の中では、各地に関所が置かれ、道を自由に通行することができませんでした。【4】しかし、江戸の平和な時代になると、街道や宿場が整備され、人や物の移動がスムーズになったのです。
 【5】飛脚のうちで、料金がいちばん安いものは、何日で届けるという保証がないものでした。急ぐものや重いものは値段が高いというところは今と同じでした。
 【6】飛脚を頼むとき、近いところだと今のお金で数百円、江戸から大阪までの最も速い特急便だと数十万円もかかったそうです。
 ところで、なぜ馬を使わなかったのか、という疑問がわいてきます。【7】理由としては、当時の馬は今の競走馬のように速くなかったこと、遠距離を走れなかったこと、そして何よりリレーしていく馬を常に飼っておく費用がかかりすぎたことなどが挙げられています。
 【8】さて、これらの飛脚は明治時代に入って、イギリスから郵便制度が取り入れられたことにより、その役割を終えました。郵便は国だけが行うようになり、切手をはるという仕組みもできました。【9】江戸時代の飛脚たちが、今の高速情報通信の時代に来たら、目を丸くすることでしょう。もしかしたら、マラソン選手になって、オリンピックで活躍するかもしれません。【0】

 言葉の森長(ちょう)文作成委員会 α