00エニシダ の山 2 月 4 週
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★自由(じゆう)な題名(だいめい)

○清書(せいしょ)

○石鹸の働き
 【1】「あの二人(ふたり)はまるで水と油のようだ」というたとえは、仲が悪いことを表すのに使われます。この言い方でもわかるように、水と油は相性が悪く、まったく混じり合いません。【2】ドレッシングは、よくふって使いますが、しばらくおいておくと、また水の部分と油の部分に分かれてしまいます。
 ですから、手に油汚れがついてしまったとき、水だけでは洗い流すことができません。【3】油は、水に溶けないからです。反対に、水に溶けやすい汚れ、たとえば醤油や水性絵の具のようなものは、簡単に水だけで洗い流すことができます。水に溶けるということは、水と手をつなぐことができるということです。【4】水に溶ける汚れは、水といっしょに洗い流されていくのです。
 そこで、水だけでは落ちない汚れのとき、私たちは石鹸を使います。では、どうして石鹸を使うと、油汚れを落とすことができるのでしょうか。
 【5】これには、水とも油とも仲よくできる、石鹸の性質が大きな役割を果たしています。石鹸は、水に溶ける部分と、油に溶ける部分の両方を持っています。【6】このように、水とも油とも手をつなぐことができる性質を持つものを「界面活性剤」といいます。石鹸の成分は一方の手で油と手をつなぎ、もう一方の手で水とも手をつなぐので、油は水の中に溶け、油汚れも洗い流されていくのです。
 【7】みなさんが日ごろ食べているマヨネーズも、この界面活性剤の働きで作られているのです。マヨネーズは、たまごの黄身と酢、サラダ油が主な成分ですが、酢と油はそのままではうまく混じり合いません。【8】しかし、たまごの黄身の中に含まれている「レシチン」という成分が界面活性剤となり、酢や黄身の水分と油をうまく混ぜ合わせるのです。そして、あのなめらかなマヨネーズができあがるというわけです。∵
 【9】仲が悪い人たちの間に入って、「まあそう言わずに仲良くやろうよ」とうまくまとめることができる人は、「まるで石鹸みたいにえらい人だ」とほめてあげることができるかもしれません。【0】

 言葉の森長文(ちょうぶん)作成委員会 τ