00エニシダ の山 2 月 2 週
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★じゆうなだいめい
○雪や氷、なわとび
○すきな人

○「すまないなあ。(感)
 【1】「すまないなあ。おれの給料がやすいから、おまえにくろうをかけるなあ。」
 「いいえ、そんなこと。」
 「ぬう機械ができたら、服をつくるのも、ずいぶんらくになるだろうな。」
 【2】「ええ、そうすれば、こんなにかたもこらないでしょうし。それにねえ、あなた。もし、そんな機械を発明した人は、大金持ちになれるんですって。」
 「ふーん、じゃあ、ひとつ、そいつを発明してみるか。」
 ハウは、じょうだんでなく、そういいました。
 【3】びんぼうのために、学校へいけなかったハウは、もう、びんぼうはこりごりでした。つまや子どもには、らくをさせてやりたいとおもいました。
 ハウは、さっそく、機械の研究に、とりかかりました。
 【4】しかし、ちょっとかんがえたのでは、かんたんにできそうでしたが、どうしてどうして、なかなかむずかしいことでした。
 またたくまになん年もたちました。だが、ハウのミシンは、できませんでした。
 【5】ハウは、つとめをやめて、ミシンの発明にうちこんでいました。ハウは、あけてもくれても、ミシンのことばかりかんがえました。
 糸のつかいかたや、はりのかたち、はりのうごかしかた……。いろいろ、くふうしてみましたが、なかなか、うまくいきませんでした。
 【6】ハウは、研究にゆきづまって、ぼんやり、つまのはり仕事の手もとを、見ていました。
 「おまえにらくをさせてやろうとおもったのに、かえってびんぼうさせちゃったなあ。」
 「いいのよ。あなたの成功をしんじているんですもの。」
 【7】「ぼくは、ゆうべ、こんなゆめを見たよ。ぼくは、土人につかまっちゃったんだ。土人の酋長が、はやくミシンをつくれ、つくらないと、ひとつきだぞって、ぼくの目のまえに、槍をつきつける∵んだよ。」
 【8】「ほほほ、あなたが、いつも、はやくミシンをつくらなければっておもってるから、そんなゆめを見るんですわ。」
 「しかも、その槍のさきにあながあいているんだよ。」
と、ハウはわらいました。ところが、そのわらいが、きゅうにハウの顔からきえたのです。
 「あっ、そうだ!」
 【9】ハウは、仕事場へとんでいきました。
 ハウはいままで、りょうはしがとがったはりのまんなかに、あなをあけて、糸をとおしていたのです。
 だが、ゆめのなかの槍のはさきのように、はりのさきに、あなをあけたらどうだろうと、かんがえたのです。
 ハウは、さっそくためしてみました。【0】

 (長崎源之助())
 「子どもに聞かせるえらい人の話」(実業之日本社)