孤独について
1君は孤独を感じたことがあるか。
もし、それを感じたことがあったら、それは君が成長したしるしだ。悲しむことはない。
2いつも、まわりのおおぜいの友人といっしょになって、先生の失敗をはやしたてたり、流行歌を合唱したりして、それで毎日がたのしいというのは、自分の個性を自分でみつけていないのだ。
3あるいは、個性をそだてることがおっくうなので、おおぜいのなかにとけこんでごまかしているのだ。渡り鳥が群れをつくってとんでいるようなものだ。おおぜいのいくところについていけばいいという気持ちだ。
4ところが、自分はおおぜいにはついていけないという気持ちがおこってくる時がある。
自分にだけ能力があるという、えらそうな気持ちからでなく、そうなる時がある。
そして、おおぜいからすこしはずれたところにでていって、はじめて救われたようになる。
5これを、孤独病という病気のように思うことはない。みんなにとけこめない自分を悲しく思うことはない。
人間はめいめい個性をもっている。それが中学生のころになると、急に成長するので、ほかの人とあわないところがでてくる。
6それぞれちがった個性が一度に開花してくるのだから、ほんとうは中学の時代は、まとまりのわるいものだ。ところが、いまは受験勉強というもので、みんなに同じような生活が強いられている。
7みんながおなじ模擬テストをうけ、おなじ宿題をやらされ、おなじように時間がたりないところにおいこまれている。みんながおなじようなことをかんがえ、おなじようにさわぐのは、受験勉強にたいする共通した反応だとかんがえていい。8受験勉強のために、個性の開花はおさえられている。
そのなかで、自分の個性の成長を感じ、自分はすこしちがうと思いはじめるのが、孤独なのだ。
自分のような孤独な人間が生きていけるだろうかなどと思うのは、まちがっている。9個性的であるという点で、人間はみんな孤独なのだ。
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