1地球規模で自然環境が危機に瀕している現代にあって、地球環境問題は、国境を超えた広範な地域で考えられねばならない問題である。その原因は個人や企業、街や地域などの環境負荷の総和から成り立っている。2つまりすべての自然環境問題には人間が関与しているのであって、その背景には環境の保全と育成を怠った人間優先の姿勢がうかがわれる。この反省のもとに、近年とくに地球の生態系に目を向けた取り組みが急速な勢いで高まりをみせている。
3人間中心主義による環境破壊を反省し、「他者」としての自然を修復し育てるための活動が、現在のエコ活動の本論となっている。そしてここでもまた人類総体として、グローバルな見地から巨大な貢献心が発動され、地球規模での自然環境を「他者」とする種々な取り組みが進められている。4ところが現実に進行しているエコ活動のなかには、本来の貢献活動から考えると意味を異にする内容があるような気がしてならない。貢献心の視点からこれらの問題点を考えてみよう。
5たとえば有限な資源である化石資源(石油や石炭)を守ることは持続的な経済にとって大切なことである。他方、代替エネルギーとして開発が進められている原子力発電には、環境上の深刻な問題が取り沙汰されている。6またオゾン層を破壊する原因として、フロンガスの影響がクローズアップされ、さらに新たに開発された物質については、もっと強い温室効果が囁かれている。
7それだけではない。人口爆発が指摘されるアフリカや東南アジア地域の食糧確保の問題は深刻だ。最大の食糧輸出国である米国では世界の食糧事情を改善させるという名目で、無制限な大規模農法を行った結果、地下水脈を枯渇させて、土壌の悪化に拍車をかけてしまった。8たとえば米国中部にある広大なプレイリー地域の生態系に起きた異変は、大規模農法による弊害とされ、枯渇してしまった水脈を修復するには何万年という自然放置期間が必要とさ
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