1最近のいじめの例では、先輩後輩関係の中ではいじめが発生していないという点が特徴的であるように思われる。上級生が下級生をいじめるというケースがほとんどない。2実際に子どもの付き合いの範囲が、兄弟姉妹という世代間関係ではなくて同一の学年に集中してきている。子どもの大半が「ひとりっこ」で、世代間関係の付き合いのしかたが子どもの文化のなかで育っていないように見える。
3私がいじめられたときには先輩が守ってくれた。先輩からいじめられることもあったが、さすがに手加減してくる。つまり、先輩後輩関係は、それもいじめの発生原因ではあるが、「管理されたいじめ」という特徴をもちやすい。4兄姉は家庭のなかでも、弟妹に対して保護しながら利用するという関係をつくる。この世代間関係が、「管理されたいじめ」という関係を生み出していた。それが現在、ひとりっこ化で失われてしまった。
5いじめに対する対策として、子どものなかに世代間関係を育てることは試みられてよいと思う。年長者が、年少者を保護したり指導したりするというタイプの経験が、今の子どもにはなさすぎる。6具体的な役割の決まった行動が不足しているので、子どもはいじめる人、いじめられる人という役割をつくり出してしまう。
学校では、先生という頂点をもとに各人が機械的に平均的な態度をとるようにつねに圧力が働いている。7成績の良い子、身体の強い子などの差異は、極力、控えめにしか表現されないように仕向けられている。子どもには、自分が何であるのかの確認ができないという漠然とした不安がある。8自分というものを発揮しようとすれば、成績を上げるよりほかにはない。学校のなかでの評価価値基準が、あまりにも単純化してしまっている。
9差異を示すこと、攻撃性を示すことは、学校のなかではなるべく回避される傾向にある。たとえば運動会では、昔は花形だった騎馬戦がなくなった。1、馬になる生徒と乗り手になる生徒が差別される。2、危険があって事故の場合の責任がとれない。03、子どもに攻撃性を身に付けさせる必要はない。このような現代の学校を支配する差別排除の文化の中で失われたのは、次のような要素で
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