1「浅野たちのチームは今、燃えている。」
山口先生の声が教室に響き渡った。今日の朝の会で、私たちDチームはみんなの前でほめられた。私たちの学校では、四年生になると女子はミニバスケットのクラブ活動があり、毎日放課後、体育館で練習をしているのだ。
2Dチームは、上から四番目のチームで、公式試合には出られない。練習の時も、ゴール下はなかなか使えず、パス練習が多い。Cチームを負かして、自分たちがCチームになれば試合に出られるのだがその壁は厚かった。
3チームの五人のうち、三人は
「どんなにがんばったって、試合になんか出られないし。」
「先生もコーチも、A、Bチームばかり力を入れているみたいだし。しかたがないけど。」
という感じで、なんとなくやる気が出ない様子だった。
4キャプテンである私と、副キャプテンのみちるちゃんは、何とかがんばってCチームに昇格したいと思っているけれど、チームワークが今ひとつなので、うまくいかないのだ。私たち二人しか来ない日もあって、Eチームに混じって練習試合をしたくらいだ。5私も少しあきらめかけていた。
ところが、先月のことだ。みちるちゃんが、
「ねえ、このままじゃ、いつかEチームにも抜かされてしまうかも。がんばって、朝練しない?」
と言い出した。みんな一瞬、えーっという迷惑そうな顔をした。
6しかし、みちるちゃんはひるまず、強い意志のこもった目でみんなを見つめ、
「私たちだって、試合に出たいよね?」
と問いかけた。私が思わず、大きくうなずくと、他の三人もつられたように首をたてにふった。
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