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 二種類しゅるい生き物い もの一緒いっしょ暮らすく  ことを共生きょうせいといいます。その一れいがイソギンチャクとクマノミです。普通ふつう、魚がイソギンチャクの触手しょくしゅ触れるふ  と、毒針どくばりによって麻痺まひさせられてしまいます。しかし、クマノミの体の表面ひょうめんには特殊とくしゅ粘液ねんえき分泌ぶんぴつされていて、イソギンチャクのどくには反応はんのうしません。クマノミが出す粘液ねんえき成分せいぶんはイソギンチャクの粘液ねんえき成分せいぶんているため、イソギンチャクはクマノミをえさと見なしません。このため、クマノミはイソギンチャクの周りまわ をすみかにして、恐ろしいおそ   てきから守るまも ことができるのです。
 クマノミの体は、どの種類しゅるいも赤、オレンジ、黄色、黒、白などが組み合わさった鮮やかあざ  な色をしています。歌舞伎かぶき役者やくしゃ隈取りくまど した化粧けしょうているのでクマノミという名前がついたそうです。
 では、イソギンチャクにとって、クマノミが周囲しゅういにいることにどんな利点りてんがあるのでしょうか。クマノミは、イソギンチャクの周りまわ 縄張りなわば 持っも ており、イソギンチャクの触手しょくしゅなどを食いちぎって食べる魚など、イソギンチャクのてき追い払いお はら ます。また、イソギンチャクの触手しょくしゅの間にえさを置いお ておくのですが、その一部いちぶはイソギンチャクのえさにもなるようです。つまり、クマノミとイソギンチャクは、お互いに たが  守っまも てもらったり、えさの一部いちぶを分けてもらったりして、ギブアンドテイクの関係かんけい保ったも ているのです。
 イソギンチャクカクレエビも、その名のとおり、イソギンチャクと一緒いっしょ暮らすく  仲間なかまです。また、ヤドカリやカニの中には、自分のはさみや貝殻かいがらにイソギンチャクをつけて、守るまも ものもいます。お互いに たが  えさのやりとりもしているようです。
 ハゼとエビも共生きょうせいしています。ハゼは、エビが苦労くろうして掘っほ あな同居どうきょします。視力しりょくのよくないエビにとって、自分の代わりか  見張りみは をしてくれるハゼは歓迎かんげいすべき同居どうきょ人です。また、エビが外出するときも、ハゼは忠実ちゅうじつなボディガードの役割やくわり果たしは  ます。
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あなの外にいるとき、エビは自分の触覚しょっかくをハゼの体に常につね ぴたりとくっつけています。てきが近づいてくると、ハゼは、尾びれお  をふるわせてエビに合図をします。エビは、危険きけん察知さっちしてすぐにあなに入ります。もちろん、ハゼも一緒いっしょあな戻りもど ます。ハゼとエビは、同じあなの中で、ハーハー、ゼーゼーといきを切らしながら、「危なかっあぶ   たね。」と話をしているのかもしれません。
 ホンソメワケベラとクエは掃除そうじ共生きょうせいする組み合わせとして知られています。クエは、本来、小魚をえさとしています。ホンソメワケベラは、クエに近寄っちかよ たら一口で食べられてしまいそうな小さな魚です。しかし、不思議ふしぎなことに、ホンソメワケベラが近くに来るどころか、クエの口の中に入っても、クエは決してけっ  ホンソメワケベラを食べようとはしません。これは、ホンソメワケベラがクエの寄生虫きせいちゅう掃除そうじしてあげているからです。クエは、口やえらなどにについた寄生虫きせいちゅうをきれいさっぱりホンソメワケベラに取っと てもらって上機嫌じょうきげんというわけです。クエがホンソメワケベラを食えないわけはここにあるのです。ホンソメワケベラにとって、寄生虫きせいちゅうはえさにもなるし、大きな魚と一緒いっしょにいることでてきから守るまも こともできて一石二鳥です。 
 共生きょうせい関係かんけいにある生き物い ものたちは、違うちが 種類しゅるいであるにも関わらかか  ず、調和ちょうわ保ったも て、平和へいわ関係かんけい維持いじしているのです。

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