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 時計が動くうご には電池が必要ひつようなように、わたしたちが生きて活動かつどうするためには、エネルギーが必要ひつようです。そのエネルギーを、わたしたちはご飯 はんを食べることで体に取り込んと こ でいます。お米やパンの中に多く含まふく れているデンプンは、とうしつ呼ばよ れるものの仲間なかまで、人間の体の大事だいじ栄養えいようもとです。砂糖さとうも、このとうしつ仲間なかまです。デンプンも砂糖さとうも、いちばん小さいたん糖類とうるいというのものに分解ぶんかいされて体に吸収きゅうしゅうされ、わたしたちのエネルギーになりますが、のう神経しんけいは、たん糖類とうるい一種いっしゅであるブドウ糖   とうだけしかエネルギーとして利用りようできません。つまり、のう神経しんけい働かはたら せるために、とうしつはなくてはならないものなのです。のう神経しんけいは、砂糖さとうのおかげで、さっと動くうご ことができるというわけです。
 最近さいきんでは「太る」とか、「糖尿とうにょうびょうになる」とか、「虫歯むしばになる」などと言われて、ちょっと悪者わるもの扱いあつか 砂糖さとうですが、じつはわたしたちにとってはなくてはならない調味ちょうみりょうです。むかしのヨーロッパでは、栄養えいよう豊富ほうふくすりとして使わつか れていたこともありました。むかし砂糖さとうは、現在げんざい石油せきゆのように輸入ゆにゅうしなければならない高価こうか食品しょくひんだったのです。また、日本でも、江戸えど時代じだいごろから砂糖さとう輸入ゆにゅう始めはじ ましたが、最初さいしょのころ、砂糖さとうはやはりくすりとして高い値段ねだん輸入ゆにゅうされていました。
 どうして砂糖さとう輸入ゆにゅうしなければならなかったかというと、砂糖さとう最初さいしょ、サトウキビから作られていたからです。サトウキビというのはイネ科の植物しょくぶつで、熱帯ねったい亜熱帯あねったいなどの暑いあつ 地方でしか栽培さいばいできないので、ヨーロッパなどでは作ることができませんでした。日本では、現在げんざい沖縄おきなわ南西諸島なんせいしょとうで作られています。
 サトウキビは、高さが人間のばいぐらい、くきの太さが手首ぐらいの、竹とススキを足して二で割っわ たような姿すがたをしています。
 サトウキビは暑いあつ 地方でしかとれなかったので、ヨーロッパで力
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のあったスペインやポルトガル、イギリスやフランスなどは、そういう暑いあつ 地方を自分たちの植民しょくみん地にしました。そして、その地方の人々や、アフリカから奴隷どれいとして連れつ てきた人たちを働かはたら せて、砂糖さとうを作らせたのです。
 しかし、そういう植民しょくみん地を持たも ない国は、サトウキビ以外いがいのものから砂糖さとうを作る研究けんきゅう進めすす ました。そして、今のドイツであるプロイセンの研究けんきゅうしゃが、サトウダイコンにも砂糖さとう含まふく れていることを発見はっけんしました。フランスのナポレオンがサトウダイコンの栽培さいばいに力を入れると、砂糖さとうはヨーロッパ中に広まりました。
 サトウダイコンは、テンサイやビートとも呼ばよ れ、カブに植物しょくぶつで、このから砂糖さとうをとることができます。サトウキビと違っちが て、涼しいすず  気候きこうでよく育つそだ ので、日本では北海道で栽培さいばいされています。ロシア民話みんわに出てくるカブは、たいていはこのサトウダイコンのことです。
 現在げんざい砂糖さとうやくわりは、やはりサトウキビから作られています。残りのこ の三わりが、サトウダイコンから作られています。また、サトウカエデのみきあなけ、そこから出てくるえき集めあつ 煮詰めにつ たものがメープルシロップで、カナダのものが有名ゆうめいです。
 「宿題しゅくだいしなさい。」と言われて、「ちょっと待っま て。おやつを食べてから。」というのは、のう栄養えいよう与えあた てよく働くはたら ようにするという意味いみで正しいことです。「はら減っへ てはいくさはできぬ」と言いますが、それはのうにとっても同じです。
 砂糖さとうは今、サトウキビやサトウダイコンやサトウカエデから取れと ますが、将来しょうらい品種ひんしゅ改良かいりょう進んすす で、ニンジンやゴボウやショウガからも取れると  ようになるかもしれません。 
「どうですか。ショウガさん。」
「さあ、どうでしょうが。」
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