1「ハッピバースデートゥーユー。」
お誕生日が来るたび、私はお母さんから自分の生まれた時のお話を聞きます。毎年同じ話を聞いても、なぜかまた聞きたくなるのです。お母さんは、
「あなたが生まれたときはねえ。」
となつかしそうな顔をします。2そして、
「なかなか逆子がなおらなくて、逆子体操をいっしょうけんめいしたけれど、直前までなおらなかったの。でも、生まれそうになっておなかが痛くなって病院に行くと、なぜかくるっとなおっていたのよ。」
と笑います。3私は、赤ちゃんがおなかの羊水の中でくるっとシンクロナイズドスイミングみたいにまわっているのを想像します。
ときどき、お父さんも話に入ってきて、
「あの時は初めての体験だったから、お父さんもあたふたしたよ。4お母さんは痛い、痛いと言うし、呼び出しベルを押してもお医者さんがなかなか来てくれないし。 生まれてきちゃったらどうしようと生きた心地がしなかったよ。」
などと早口でまくし立てます。5その様子を見ると本当にあせっていた様子が想像できます。
おばあちゃんにも聞きました。
「それがねえ、いとこのけいちゃんやしんちゃんと比べても、信じられないくらい大きな産声だったのよ。6おばあちゃんたちは廊下で今か今かと待っていたのだけれど、厚い分べん室の扉をつきぬけるような元気なオギャーだったわよ。」
と大笑いしていました。7そして
「先生や看護師さんが、もう目をあいてますよと言ったのも忘れられないわねえ。」
と付け加えました。すると、お母さんたら
「そうそう。それからね、生まれたとたん、ぴゅーっとオシッコしたんだったわ。」
などと言うのです。8私はこの話だけははずかしいので、いやだ
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