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 パストゥールは炭疽たんそきんのいる血液けつえき一滴いってきだけとって、これを尿にょうの中で培養ばいようしました。数日後、この培養ばいようえきからまた一滴いってきだけとって、二番めの培養ばいようえきの中におとしました。
 そして数日後、またおなじことをくりかえしました。
 いちばん最初さいしょ一滴いってき血液けつえきは毎回うすめられているのですから、この作業さぎょうをなんどもくりかえしていけば、最初さいしょ一滴いってきの中にいた微生物びせいぶつはとうぜん消えき てしまうはずです。
 パストゥールは、このようにして二十回もうすめてきた培養ばいようえきから、ほんの一滴いってきだけとって動物どうぶつ注射ちゅうしゃしました。すると、動物どうぶつはたちまち炭疽たんそびょうにかかることがわかりました。最初さいしょ培養ばいようえきも、最後さいご培養ばいようえきも、病気びょうきをおこさせる力はおなじなのです。うすめるたびに炭疽たんそきん繁殖はんしょくしたにちがいありません。そうでなければ、最後さいご培養ばいようえきは何百ばいにも弱まっているはずですから。
 こうして、この小さな棒状ぼうじょうのものが、炭疽たんそびょう原因げんいんだということがわかりました。
 もし環境かんきょうをかえたら、炭疽たんそきんはどのような反応はんのうをしめすのでしょう。
 パストゥールは、ニワトリが炭疽たんそびょうにかかっているひつじといっしょにいても、決してけっ  病気びょうきにならないこと、また、ニワトリの体温たいおんが高いことを知っていました。そこで、数羽のニワトリをこおりにつけてひやしてから、炭疽たんそきんをあたえてみました。どうなるか想像そうぞうしてみてください。
 しばらくすると、ニワトリはみんな病気びょうきにかかったのです。
 パストゥールはすぐに反対はんたい実験じっけんをしてみました。
 ウサギは炭疽たんそびょうにかかりやすい動物どうぶつです。びきかのウサギをあたたかいお湯 ゆにつけて体温たいおんをあげてみました。するとどうでしょう、ウサギは病気びょうきにかからなかったのです!
 「細菌さいきん戦うたたか パストゥール」(ブラーノ=ラトゥール)偕成社かいせいしゃ
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