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 「ここは通れません。」 
菅原すがわらくんが道をふさぎました。下校する時、いつも一組の菅原すがわらくんはまちぶせしてわたしにいじわるをします。バスを降りお て、うちまでの道がずっといっしょなので、毎日帰りに会ってしまいます。 
 オナモミのをたくさんポケットに入れていてそれをぶつけてきたり、たてぶえのふくろをふりまわしたり、本当に毎日いやなことをします。ランドセルと背中せなかの間にトカゲを入れられたり、わきに下げている給食きゅうしょく用のコップをとられたりもしました。帽子ぼうしを上にひっぱって、ゴムをぱちんといわせるのなんかしょっちゅうです。わたしは、とても悲しくかな  なるけれど、がまんして走って通り過ぎとお す ます。そしてうちに着いつ て、お母さんの顔を見るとなみだがぽろぽろ出るのでした。 
 でも、お母さんは、 
菅原すがわらくんはさやかとお友だちになりたいからそういうことをするのよ。今度こんど、いっしょに遊ぼあそ うと言ってみたら?」 
などとにっこり笑うわら のです。いっしょに遊ぶあそ だなんて絶対にぜったい いや! わたしは心の中でそう思いました。そして、にくらしい菅原すがわらくんの顔を思い浮かべるおも う   とくやしい気持ちきも でいっぱいになりました。 
 十二月のはじめ、風の冷たいつめ  日でした。わたし靖子やすこちゃんや典子のりこちゃんたちと五、六人で、公園でゴムとびをしていました。夢中むちゅう遊んあそ でいると、そこへ菅原すがわらくんたちがやってきました。わたしは楽しかった気持ちきも が一気にしぼむ感じかん がしました。思ったとおり、菅原すがわらくんたちはれつ並びなら もしないで、じゃまするようにゴムにむかって走って来ます。そして、わざと、ピンとはったゴムにひっかかるまねをしました。その時、ゴムを持っも ていたわたしは思わず向こうむ  がわ典子のりこちゃんに、 
「まきつけちゃおう。」 
呼びかけよ   ました。そして、菅原すがわらくんたちを伸ばしの  たゴムでぐるぐる巻きま にしたのです。菅原すがわらくんたちはギエッとへんな声を出しました。
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身動みうごきができなくなった菅原すがわらくんを見て、わたしはなんだかおかしくなって笑いわら 出してしまいました。みんなもゲラゲラ笑いわら ました。ぐるぐる巻きま にされた菅原すがわらくんたちも、 
「ごめんなさあい。」 
笑っわら ています。そのあとはなぜか仲良くなかよ なって大勢おおぜいでゴムとびをしました。 
 その日をさかいに、菅原すがわらくんは帰り道のいじわるをぴたりとやめました。会っても、「おう」と言うだけで何もしてきません。それどころか、 
「おまえ、今日遊べるあそ  ?」 
誘っさそ てくるようになったのです。いつかお母さんが言ったことは本当だったのだなあとわたしは思いました。

言葉ことばの森長文ちょうぶん作成さくせい委員いいん会 φ)
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