遠くへたびをする鳥――わたり鳥のいろいろ――
1春になると、つばめが南の国からとんできて、家ののき下などにすをつくるのを、みなさんは知っていますね。
そこの家の人たちは、
「ああ、ことしもまた、つばめがやってきた。2よくわすれないで、くるもんだ。かわいいものだな。」
といって、じぶんの子どもが、長いたびからかえってきたように、かわいくおもうものです。
つばめは、くるそうそう、どろをくわえてきては、もとあったすの手いれをして、やがて、そこにたまごをうみます。
3ひながかえると、こんどは、せっせとえさをさがしてきて、ひなをそだて、秋になると、大きくなった子つばめをつれて、また南の国へかえっていきます。
南の国って、いったいどこでしょう。
4おどろいてはいけませんよ。フィリピンとかインドネシアとか、海をこえた、遠くのほうなのです。
これとはんたいに、秋になると、北の国から日本にやってきて、冬のあいだじゅういて、春にかえっていく鳥もあります。
5がんや、かもなどが、そうです。
これは、どこからくるのかというと、ずっと北のほうの、シベリアとか、カムチャッカという、さむいところからです。
夏のあいだじゅう、そこで、ひなをそだてて、秋に日本へやってくるのです。
6このように、遠くからたびをしてくる鳥を、わたり鳥といっていますが、そのうちで、つばめのように夏のあいだ日本にいる鳥を、夏鳥といいます。
そして、がんや、かものように、冬のあいだいる鳥を冬鳥といっています。
7冬鳥には、このほか、つる、つぐみ、まひわなどがあります。
ほととぎすやかっこう、つつどり、おおるり、さんこうちょう、ぶっぽうそうなどは、夏鳥です。
8うぐいすも、春になると、町の近くにやってきます。けれど、これは、夏のあいだ山にすんでいて、冬になると、あたたかい海べや野原にでてきて、そこでひなをうみ、春のあいだ、平野にすんでいるのです。
9うぐいすのほかにも、ひよどりや、もずなどは、山と平野のあいだだけを、いったりきたりしているのです。
こうしてみると、たいていの鳥がたびをしているみたいですね。
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