a 長文 6.3週 sa
 遠くへたびをする鳥――わたり鳥のいろいろ――

 春になると、つばめが南の国からとんできて、家ののき下などにすをつくるのを、みなさんは知っていますね。
 そこの家の人たちは、
「ああ、ことしもまた、つばめがやってきた。よくわすれないで、くるもんだ。かわいいものだな。」
といって、じぶんの子どもが、長いたびからかえってきたように、かわいくおもうものです。
 つばめは、くるそうそう、どろをくわえてきては、もとあったすの手いれをして、やがて、そこにたまごをうみます。
 ひながかえると、こんどは、せっせとえさをさがしてきて、ひなをそだて、秋になると、大きくなった子つばめをつれて、また南の国へかえっていきます。
 南の国って、いったいどこでしょう。
 おどろいてはいけませんよ。フィリピンとかインドネシアとか、海をこえた、遠くのほうなのです。
 これとはんたいに、秋になると、北の国から日本にやってきて、冬のあいだじゅういて、春にかえっていく鳥もあります。
 がんや、かもなどが、そうです。
 これは、どこからくるのかというと、ずっと北のほうの、シベリアとか、カムチャッカという、さむいところからです。
 夏のあいだじゅう、そこで、ひなをそだてて、秋に日本へやってくるのです。
 このように、遠くからたびをしてくる鳥を、わたり鳥といっていますが、そのうちで、つばめのように夏のあいだ日本にいる鳥を、夏鳥といいます。
 そして、がんや、かものように、冬のあいだいる鳥を冬鳥といっています。
 冬鳥には、このほか、つる、つぐみ、まひわなどがあります。
 ほととぎすやかっこう、つつどり、おおるり、さんこうちょう、ぶっぽうそうなどは、夏鳥です。
 うぐいすも、春になると、町の近くにやってきます。けれど、これは、夏のあいだ山にすんでいて、冬になると、あたたかい海べや野原にでてきて、そこでひなをうみ、春のあいだ、平野へいやにすんでいるのです。
 うぐいすのほかにも、ひよどりや、もずなどは、山と平野へいやのあいだだけを、いったりきたりしているのです。
 こうしてみると、たいていの鳥がたびをしているみたいですね。
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 それでも、ひとつところにいて、どこにもたびをしない鳥も、いることはいます。
 みなさん、ごぞんじでしょう。
 すずめ、からす。これは、たしかに、一年じゅう、わたしたちの目のまえをとんでいますね。

(「世界せかいふしぎめぐり三年生」より抜粋ばっすい一部いちぶ調整ちょうせい
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