たびをする草や木のみ――たんぽぽややしのみ――
1みなさんは、もう学校でならって、知っているでしょうか。植物のたねのなかには、たびをするものがあるのですよ。
いろいろのたねがたびをしますが、いちばんたのしそうなのは、たんぽぽの空中りょ行でしょうね。
2春、たんぽぽの花がさききってしまうと、花びらがちったあとに円いわたのような白いものがのこります。
やがて風がふくと、一本一本のわた毛が、ふわり、ふわりと、空にまいあがるのです。そのわた毛の下には、ひとつずつ、たねがついています。
3きもちよさそうに、空をとんでいったたんぽぽのわた毛は、風しだいで、たんぼのあぜにおりたり、みなさんのおうちをのぞいて、にわにおりたりします。
そして、そこの地面にこしをおろして、あくる年の春、めをだし、花をさかせるのです。
4海をたびする植物には、やしのみがあります。やしのみは、みなさんの頭くらいあります。
海岸などに生えていますので、海の中におちたものが、ふわりふわりと、海のたびをして、遠い遠い島にながれつき、そこで、めをだすことがあります。
5人間のきものなどにくっついて、はこばれるのは、いのこづち、ぬすびとはぎなどの草のみです。
みなさんが、きれいな花をとろうとおもって、やぶの中にはいると、きものにいっぱいついて、なかなかとれない草のみがあるでしょう。6それが、いのこづちや、ぬすびとはぎのみなのです。こうして、ほうぼうへつれていってもらって、めをだすばしょをみつけるのです。
きみじかなのは、ほうせんかのたねでしょう。
花がちって、あとにみができます。7みなさんが、たねをとろうとおもって、ちょっと手をかけでもすると、パチンと、すごいいきおいで、かわがはじけて、中のたねは、四方八方へ、とびちってしまいます。
8ひとところへ、たくさんのたねがおちたのでは、めがでてから、おたがいに、ようぶんをとりっこしたり、太陽のひかりをうけられないものができたりしますから、できるだけ、いきおいをつけて、遠くへちらばってとぶのです。
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