a 長文 4.3週 sa
 たびをする草や木のみ――たんぽぽややしのみ――

 みなさんは、もう学校でならって、知っているでしょうか。植物しょくぶつのたねのなかには、たびをするものがあるのですよ。
 いろいろのたねがたびをしますが、いちばんたのしそうなのは、たんぽぽの空中りょ行でしょうね。
 春、たんぽぽの花がさききってしまうと、花びらがちったあとに円いわたのような白いものがのこります。
 やがて風がふくと、一本一本のわた毛が、ふわり、ふわりと、空にまいあがるのです。そのわた毛の下には、ひとつずつ、たねがついています。
 きもちよさそうに、空をとんでいったたんぽぽのわた毛は、風しだいで、たんぼのあぜにおりたり、みなさんのおうちをのぞいて、にわにおりたりします。
 そして、そこの地面じめんにこしをおろして、あくる年の春、めをだし、花をさかせるのです。
 海をたびする植物しょくぶつには、やしのみがあります。やしのみは、みなさんの頭くらいあります。
 海岸かいがんなどに生えていますので、海の中におちたものが、ふわりふわりと、海のたびをして、遠い遠いしまにながれつき、そこで、めをだすことがあります。
 人間のきものなどにくっついて、はこばれるのは、いのこづち、ぬすびとはぎなどの草のみです。
 みなさんが、きれいな花をとろうとおもって、やぶの中にはいると、きものにいっぱいついて、なかなかとれない草のみがあるでしょう。それが、いのこづちや、ぬすびとはぎのみなのです。こうして、ほうぼうへつれていってもらって、めをだすばしょをみつけるのです。
 きみじかなのは、ほうせんかのたねでしょう。
 花がちって、あとにみができます。みなさんが、たねをとろうとおもって、ちょっと手をかけでもすると、パチンと、すごいいきおいで、かわがはじけて、中のたねは、四方八方へ、とびちってしまいます。
 ひとところへ、たくさんのたねがおちたのでは、めがでてから、おたがいに、ようぶんをとりっこしたり、太陽たいようのひかりをうけられないものができたりしますから、できるだけ、いきおいをつけて、遠くへちらばってとぶのです。
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 てっぽううりも、これとおなじようなことをします。
 たまはじきだけというきのこも、なん万こという胞子ほうしのはいっているたねを、音をたててはじきだします。
 それでは、このように、じぶんの力でりょ行できない木のみ――たとえば、かきのみなどは、どうするのでしょうか。
 これらのみは、鳥にたべてもらって、ふんといっしょに地面じめん落ちお て、めをだします。かきのみや、なんてんのみなどが、じゅくして、うつくしく色づくのは、鳥にはやくたべてもらいたいからだといえましょう。
 こうしてみると、植物しょくぶつのたねのたびは、たのしいハイキングや、遠足ではなくて、めをだすばしょをさがしてあるく、ひっこしなのですね。

(「世界せかいふしぎめぐり三年生」より抜粋ばっすい
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