1国際人とは一体どんな人間のことなのか、わかっているようでわかりにくい。単に外国へ何度も行ったことがあるとか、西洋のマナーを身につけているとか、外国で知名度が高いなどということではないような気がする。2また、外国語に堪能であるというだけでも国際人とは呼べないだろう。
私なりの考えでは、「外国人を相手に自分の考えを伝えたり心を通わせることのできる人」というようなものではないかと思っている。3こう考えるとき、国際人たるべき最も大切な条件とは何だろうか。それは多分、「論理的に思考し、それを論理的に表現する能力を持つこと」ではないかと思う。4言語、風俗、習慣などは国によって異なっていても、論理なるものは万国共通だからである。日本人の議論ベタは有名であるが、その原因は日本人がこの能力に欠けているからだと思われる。
5なぜ、論理的思考の訓練が我が国では十分にされていないのだろうか。やはり教育が真先に頭に浮かんで来てしまう。大学入試を目指して階段を駆け上がるような小・中・高の学校教育、しかもその中で知識の修得が偏重されているということ。6このあたりに大きな原因があるのではないか。
アメリカの大学初年生を日本の学生と比べてみると、アメリカ学生の方が知識量でははるかに劣っている。びっくりするほど無知であると言ってもよい。7しかし論理的に考え表現し行動することにかけては、彼らは十分な訓練を受けているから、精神的には成熟していて、論争になったりした場合には日本人学生はとても太刀打ちできない。8一見アメリカの学校は生徒を自由に遊ばせているだけのように見えるが、そういった訓練はきちんとなされているのである。
9たとえば小学生の宿題として「ピューリタン(キリスト教の
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