「飽和化市場」という言葉がある。いろいろな商品の普及率がもう限界のところまできている消費市場をあらわす言葉だ。たいていのモノはひととおり行きわたった、という状態である。
飽和化市場の特徴は、いままでもっていた製品から新しいものに買いかえていく需要は多いが、市場全体が成長していく力はもう限界のところまできている、という点だ。
そのため、売り手側としても、いままでと同じような売り方では商品が売れない。そこで、それぞれ独自の商品を開発したり、新しい売り方を考えたり、これまでとはちがった分野へ進出したりと、あらゆる手を試みる。ここまでに紹介した販売方法の工夫だとか、競合商品にはない独自の機能やデザインの開発などといったことも、こうした市場があふれている。
たとえばモノ。すでに述べたように、ヘッドホン・ステレオ一つ取りあげても、似かよった商品がたくさんのメーカーから発売されている。たくさんの商品のなかから、きみは一つの商品を選んで購入するわけだ。そのためにカタログを取りよせたり、お店の人の話を聞いたりして情報を集め、比較した上で決める。
つまり、きみの前には、とてもたくさんのメニューがあり、そこからある一つを選択するというわけだ。
サービスという商品を購入する場合も同じだ。
外食の代表といえるファースト・フード。あるチェーン店で新しいハンバーガーが登場したと思ったら、すぐに別のチェーン店にも似たようなメニューがつけ加えられる。もちろん、「一味ちがった」商品としてだ。
ここでもきみは、さまざまなお店のさまざまなメニューのなかから一つのサービスを購入するための選択をすることになる。
新しい商品やサービスが市場にでるまでには、売り手側の「商品差別化戦略」がおこなわれている。消費者側の情報を得るための調査、その情報をすぐに利用できるように蓄積したデータベースの作成、テレビやイベントをとおしての宣伝・広告・商品を効率よ
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