1島に住む動物と大陸に住む動物とでは、体の大きさが違う。ゾウのような大形のものを比べると、島のものは大陸のものより、体が小さくなる傾向がある。島はせまい。小さな島で物が小さくなっていくのはもっともな話のようだが、事態はそう単純ではない。2ネズミやウサギのような小形のものを比べると、こちらは島のほうが大陸より、ずっと大きい。
島では大きいものは小さくなり、小さいものは大きくなる。島に隔離された動物に見られる、このような体のサイズの変化の方向性が「島の法則」と呼ばれるものだ。3変化の方向性は、いま現に生きているものだけを見ているより時間を追って化石を調べていったほうが、はっきりする。大氷河時代には海面が下がり、多くの島が大陸とつながったが、深い海でへだてられていたもの(セレベス、地中海の島々、西インド諸島など)は島として残り、そこではゾウ・カバ・シカ・ナマケモノなどが小形化していった。
4もっともあざやかなのはゾウの例だ。ゾウはだんだんと小さくなり、ついには成獣になっても肩までの高さが一メートル、仔牛ほどしかないものが出現した。大陸では巨大なマンモスがのし歩いていたのである。5一方ネズミを見てみると、島のネズミは大きくなり、ネコほどもあるものが出現した。
なぜ島では動物のサイズが変化するのだろうか? 一つの要因は捕食者であろう。島という環境は、捕食者のすくない環境である。6一般的に言って、捕食者が生きていくには、自身の十倍以上のえさになる動物を必要としている。島という限られた面積の中では、えさになる動物の数もたかがしれてくるわけで、そのくらいの数では捕食者は生きて行けなくなり、島では捕食者がほとんどいない、もしくはまったくいないという状況が出現する。7こういう状況下ではゾウは小さくなり、ネズミは大きくなっていく。
ゾウはなぜ巨大なのか? それは大きな図体で捕食者を圧倒しようとしているからだ。あれだけ巨大ならばトラもライオンも歯がた
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