a 長文 9.3週 i
「おや。」
 ファーブルは、びっくりして立ちどまりた    ました。とりのすが、あったのです。すのなかには、青空あおぞらのようないろをした、うつくしいたまごが六つ、おぎょうぎよくならんでいました。
「すばらしいなあ。」
 ファーブルは、むねがわくわくしました。

 すのなかから一つとりあげると、そっとポケットへいれました。うれしくてうれしくてたまりません。そのまま、いけのほうへいちもくさんにかけだしました。
 けれど、それからしばらくたつとファーブルは、ふーふーいきをきって、また、すのところへはしってかえりました。そして、さっきのたまごを、だいじそうにポケットからとりだしたのです。
「ごめんね。」
 ファーブルは、たまごをそっと、もとのところへならべてやりました。

「ごめんね。おまえは、ノビタキってまえのとりなんだってね。そして、はたけのわるいむしをたいじして、おひゃくしょうさんをたすける、いいとりなんだってね。ぼく、いまいけのそばで、きょうかいのぼくしさんにそれをおそわったの。ちっともしらなかったんだもの。ごめんね。」
 ファーブルはそういうと、ぴょこんと、とりのすにあたまをさげるのでした。
 ピーチク、ピーチク……。
 たまごのように、まっ青  さお大空おおぞらでは、ひばりがしきりにないていました。

二反長半にたんおさなかばへん 白木しらきしげるちょ 「美しいうつく  はなし・いじんのこころ」より)
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