a 長文 9.2週 i
 そのときでした。
「こらっ、おまえなんかに、みずをのまれてたまるもんか。きたならしい。むこうへいってしまえ。」
 きんじょのおとこがたけのぼうで、こじきをおいはらいました。
 ガンジーは、もう、がまんができませんでした。
「おじいさん、まって。ぼくが、くんであげるよ。」
 ガンジーは、いそいでみずをくみあげると、こじきをやさしくつれもどしてきました。

「ぼっちゃん、ありがとうございます。」
 としよりのこじきは、ぽろぽろなみだをこぼしながらも、さもおいしそうにみずをのみました。やせたいぬも、ぺちゃぺちゃみずをのむと、さもうれしそうにガンジーのかおあげるのでした。
 ガンジーは、みんながじぶんをているのに気がつくき   と、まっかになって、いえへかけこみました。

 ゆうごはんのあとで、ガンジーは、おとうさんにきょうのはなしをくわしくしました。ガンジーのおとうさんは、インドで高いたか くらいについているやくにんでした。そのおとうさんは、にこにこすると、
「おお、おまえは、よいことをしてくれた。かわいそうなひとをたすけるのは、人間にんげんのつとめなんだ。よいことをするのに、しりごみしていてはいけない。よくやったね。きょうのおこないは、ゆうきがあって、りっぱなものだ。おまえは、よわむしでもなければ、いくじなしでもないのだ。大きくおお  なっても、ただしいことをするそのゆうきをなくしてはいけない。」

 いつも、じぶんをいくじなしだとばかり思っおも ていたガンジーは、はじめてそうでないことがわかりました。そして、むねが、すーっとあかるくなるのでした。

二反長半にたんおさなかばへん 白木しらきしげるちょ 「美しいうつく  はなし・いじんのこころ」より)
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