a 長文 7.3週 i
 あくるとしはるに、なたねはきいろいきれいなはなをさかせました。はながちって、みがなりました。
 そのみをあつめて、きんじろうはあぶらやさんへもっていきました。
「あぶらやさん。このなたねのみを、あぶらととりかえっこしてくれませんか。」
と、たのみました。すると、あぶらやさんは、
「おお、きんじろうさんのつくったなたねのみだね。よしよし。」
と、しんせつに、あぶらととりかえてくれました。

「こんどは、もうじぶんのあぶらだもの。おじさんだってしからないだろう。」
 きんじろうは、よるのくるのが、まちどおしくてなりません。あんどんにあぶらをいれて、あかりをつけてほん読みよ ました。
 ところが、おじさんは、やっぱりこわいかおして、
「きんじろうや。おまえはいったい、なにになるつもりじゃ。ひゃくしょうになるのに、べんきょうはいらないんだよ。あしたはあさはやくから、のらへいくのだ。はやくねなさい。」
「はい。」
と、きんじろうは、またあかりをけさなければなりません。やっぱりきんじろうは、べんきょうができませんでした。

「ああ、ひゃくしょうは、どうして、べんきょうをしてはいけないのだろう。そんなことはない。」
思いおも ました。
 けれども、おじさんにめいわくをかけてはいけません。
「そうだ。やまへいくみちや、たんぼへいくみちで、ほん読もよ う。」
 くわをかつぎながら、また、しばをかつぎながら、きんじろうはほん読みよ ました。

二反長半(にたんおさなかばへん 白木しらきしげるちょ 「美しいうつく  はなし・いじんのこころ」より)
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