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 宮崎みやざきけん幸島こうじまというところにいる野性やせいのサルのむれは、人間にんげんがまいてやるサツマイモをうみなみであらって、塩水しおみず味つけあじ  をして食べるた  ことで有名ゆうめいです。 
 そのころ、日本にっぽんではまだあまりサルの研究けんきゅうをするひとがいませんでした。しかし、サルが大好きだいす だった京都大学きょうとだいがく今西いまにし錦司きんじさんたちは、幸島こうじまのサルを観察かんさつしたくてやってきたのでした。ところが幸島こうじまのサルは、りょう狩らか れたことがあったために、人間にんげんをとてもこわがっていました。そこで京都大学きょうとだいがくひとたちは、サルを安心あんしんさせようと、サツマイモをまいてやりました。そのサツマイモを、サルはあらって食べるた  ようになったのです。それまで外国がいこくでは、サルの研究けんきゅうをするとき、えさをまいてやるということはしていませんでした。 
 そのほかにも、外国がいこくひとがやっていないことを、この日本にっぽん若いわか 研究者けんきゅうしゃたちはしました。むれのサルに、一匹一匹いっぴきいっぴき名前なまえをつけて観察かんさつしたのです。たとえば、こわいボスザルには「カミナリ」、わかくてあたまのいいオスザルには「ヒヨシマル」といったぐあいです。
 日本にっぽんでの研究けんきゅうになれてくると、京都大学きょうとだいがくひとたちは、アフリカに行っい てゴリラやチンパンジーの研究けんきゅうもするようになりました。 
 そして、研究けんきゅうしたことを国際こくさい会議かいぎ発表はっぴょうしましたが、それを聞いき 世界せかいのサル学者がくしゃたちはたいへんおどろきました。日本にっぽんで、こんなにりっぱなサルの研究けんきゅうがされていたとは思っおも ていなかったのです。日本にっぽんのサルの研究けんきゅうがいちばん進んすす でいる、と世界せかいのサル学者がくしゃたちは感心かんしんしました。そんな世界せかいのサル学者がくしゃたちが最ももっと 驚いおどろ たのが、日本人にっぽんじんがサルたちに名前なまえをつけていたことなのでした。 
 世界せかい学者がくしゃたちは、サルに番号ばんごうしかつけていませんでした。それに、サルのかお性格せいかく一匹一匹いっぴきいっぴきちがうことにも気がついき   ていなかったのです。
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 西洋せいようひとは、人間にんげん動物どうぶつはまったくちがうものだと、はっきりわけて考えかんが ていました。けれど、日本人にっぽんじんむかしから、人間にんげん動物どうぶつとはあまり変わらか  ないものだという考え方かんが かただったのです。サルもタヌキもキツネも、日本人にっぽんじんにとっては同じおな むら仲間なかまのようなものでした。だから、いま時代じだいになっても、若いわか 研究けんきゅうしゃはごく自然しぜんに、サルになまえをつけたのでした。サルを番号ばんごうでよぶことのほうが、むしろやりにくかったのです。
 最初さいしょのころ、世界せかい学者がくしゃたちは、日本人にっぽんじんがサルに近いちか からそういうことができるのだと考えかんが ていました。しかし、いまでは、世界中せかいじゅうのサルの研究者けんきゅうしゃたちは、この日本にっぽん方法ほうほう使っつか て、サルたちに名前なまえをつけて研究けんきゅうするようになっています。そのほうが、サルたちの社会しゃかい生活せいかつについて、よく理解りかいできることがわかったからです。

 言葉ことばもり長文ちょうぶん作成さくせい委員いいんかい(λ)
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