a 長文 1.2週 e
 つき青いあお ばん、アフリカの草原そうげんで、ライオンに三つ子み ごがうまれました。まるまるふとってククククとよくわらうのがコロン、ちっともわらわないのがムウ、ちょっとばかりげんきがないのがショボン……となづけられて、いくにちかすぎました。ちかくにお花 はなばたけがあるせいか、はなのさいているときにうまれたせいか、みんなひどくはなずきでした。三びきは、よく、ちかくのもりの、はなばたけにねそべりにゆきました。
 さてまたつき青いあお ばん、三びきがはなのあいだでふざけていると、かあさんライオンがやってきて、コロンをよびました。
――コロンちゃん、いっしょにいらっしゃい。
 うん、とコロンはおきあがり、クローバーを、ちょいとあたまにつけて、かあさんライオンについてゆきました。
 もりにはいると、かあさんライオンはいいました。
――きょうはね、ケモノのつかまえかたをおしえてあげるの。よくみてらっしゃいよ。そういうと、じっとからだをひくめて、しのびあしで、ツツツツツウと、すすみます。おや、ウサギがいるぞ。
――ここでね、ウンといきをすいこんで、ひととびにゆくのよ。
 かあさんは、ささやくようにコロンにおしえると、ウンと、いきをすいこみます。
 はなのあなが、三かくにひろがり、ひげがヒョロリとたれてしまって、とってもへんなかおです。みたとたん、コロンはクククククと、わらいだしてしまいました。ウサギはもちろん、ぴょんと、ひととびでサヨナラしてしまいました。
――だめじゃないの、コロンちゃん。
――だって、さっきのかあさんのかお、あんまりおかしかったんだもの。それに、あのウサギのあわてかたったら!
 そしてまた、ククククなのです。かあさんライオンは、あきらめてかえりました。
 つぎのよるは、ムウでした。
――ムウちゃん、いっしょにいらっしゃい。
 ムウは、だまってついてゆきました。もりにはいると、かあさんライオンはいいました。
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――きょうはね、ケモノのつかまえかたをおしえてあげるの。よくみてらっしゃいよ。
 そういうと、からだをしずめて、スススススと、しのびあしですすみます。おや、あそこにリスがいるわ!――ここでね、ウオーッってほえるの。そしたら、リスはびっくりして、ちぢみあがっちゃうのよ。そこを、つかまえるの。
 かあさんは、そうムウにささやくと、あごがはずれそうに大きくおお  くちをひらいて、ウオーッとほえました。
 もちろん、リスはビリリリと、でんきがかかったみたいになってうごけません。
――さあ、おたべ。
 かあさんライオンがムウにいいましたが、ムウはこたえません。じっと、リスをみつめています。そして、「さあ」と、もういちどかあさんがすすめると、ムムウと、かおをしかめるのです。かあさんはびっくりして、ムウをみました。
 へんじなし、なのです。
――どうしたの?
 それもそのはず、ムウもうごけなかったのです!
――あらあら、ムウちゃんまで!
 ごめん、ごめん。
 かあさんライオンは、あわててムウのしっぽを、ちょいとおしてやると、ムウはやっとうごけましたが、リスのほうもそのすきに、ひととびでにかけのぼりました。

「ぽけっとにいっぱい」『三びきのライオンの』より(今江いまえ 祥智よしとも)フォア文庫ぶんこ
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