近代以降の医療は西洋医学が中心で、西洋医学は分析医学になって、傷んだ箇所を物理的に治そうとしてきました。歯が悪ければ悪い箇所を削ってつめものをして、それが最良の治療ということです。
胃が悪ければ胃薬を差し出す。それで胃が治れば医学の勝利なのです。歯がなぜ悪くなったのか、悪くさせないためにはどうしたらいいか、ということには非常に不熱心になってしまいました。ガンのお医者さんはガンを退治することしか考えない。そのための手術が体のどこにどんな悪影響を与えるかは知っていても無視する。自分の担当部位が治れば「俺の勝ち」みたいな一種の巧名争いが起こっているのです。
もし虫歯の予防がうまくいって「痛い、痛い」と言う人が少なくなれば、歯医者さんはやっていけなくなる。だから極端なことを申せば「治す技術はしっかりありますから、虫歯になっても大丈夫ですよ」という感じでやってきたわけです。
歯医者に限らず医療はみんな同じ発想でやっています。その結果、病気の本質が見えなくなってしまった。そのことを端的に示しているのが最近言われ始めた「胃ガンピロリ菌説」ではなかろうかと思うのです。
胃ガンの人を調べると、胃の中にヘリコバクスター・ピロリという菌がいる。この菌が胃ガンを作る元凶だとマスコミなどでも報じられていますが、こういう結論のもって行き方が現代の特徴なのです。
私に言わせれば、なるほど胃ガンの人の胃の中にはピロリ菌はいるだろう。しかしピロリ菌が胃ガンを作った確証はない。胃ガンになったからピロリ菌が住むようになったと考えることだってできると思います。因果関係は全然わかっていないのですから。それにもかかわらず「ピロリ、ピロリ」と騒いでいる。波動的な考え方をしますと、胃ガンになるからピロリ菌というものがたぶん出てくるのであろうと、そういうふうに推定できます。原因と結果を取り違えているのです。結果と見えていることは実は原因であり、原因と思われることは結果である。そういう見方も必要と思います。
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