a 長文 6.2週 1a
 人間の体はオーケストラのように響きひび 合って、全体として一つのまとまった一定の波動を出しています。しかしそのことは、ふだんは自覚できません。ちょうど地球がぐるぐると回っているのに、そんなことを意識しないのとまったく同じです。
 私たちの回りにはテレビの電波やら携帯けいたい電話の電波などが錯綜さくそうして飛び交っているけれども、そういう自覚も私たちはほとんどありません。目に見えない、体で感じないことに私たちはかなり鈍感どんかんなのです。
 でも波動を活用するためには、目に見えないものや体で感じられないものへのきめ細かい感受性を持つことが求められます。そういう見方をしていかないと、なかなか波動というものの真の価値を理解することができません。
 「見えないものはない」「五感で感じられないものはない」「科学的に合理性のないものは信じられない」という感覚の持ち主は、波動的人生は送れないといってよいでしょう。実際は感じないことなどありえないのです。ただその感じたものを、自分の心でどうとらえるかが人によって異なっているのです。
 たとえば氷に触れれふ  だれでも冷たいと感じます。しかしそれは、ただ冷たいという感覚だけでは物理的な温度を感じただけなのです。ガラスにさわってみるとやはり冷たい。でもその冷たさを「ひんやりしていい気持ちだね」と感じるときもある。きめ細かな感受性とはそういう感じ方のことです。
 このような感受性を養うには、握手あくしゅをするのがいちばんよい方法です。握手あくしゅをするときただ手を握るにぎ のではなく、こちらの想いを込めこ 握るにぎ のです。そうするとその想いは相手に伝わると同時に、相手の気持ちもこっちに入ってくる。そういう感じがするかどうかを意識してやってみることです。
 そうした感受性が養われると、波動というものが直接感じられるようになります。たとえば目を見ただけで相手の気持ちがピンとわかるようになる。目は波動を出していますから、それをキャッチできるのです。
 自分が愛している人の言動にはだれでも敏感びんかんです。新婚しんこんホヤホヤの奥さんおく  なら、旦那だんなさんの玄関げんかんの開け方、くつ脱ぎぬ 方、「ただいま」という声の調子、そういうものから心理状態を読み取れる。愛しているからそれがわかるのです。
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 同じように私たちは自然を愛し、人生を愛することができれば、自然のささやきも人生のすばらしさもひしひしと伝わってくる。もしいま人生がつまらない、自然など忙しくいそが  て関わっているひまがないと思うようだったら、かなり波動的な人生から遠ざかった心理状態にある。はっきりいって不健康な心の状態です。
 前にも申し上げたように人間の体はアンテナなのです。発振はっしんアンテナを持っている。同時に受信アンテナを持っている。人間はみんなほぼ同じような発振はっしん、受信アンテナを持っていますので、自分が発振はっしんした気持ち(波動)がむこうに通じるということを信じることも大切です。
 人間同士のコミュニケーションは、言葉や行動よりも波動が理想的です。波動は瞬時しゅんじにすべてを理解する。脳の働きでいえばデジタル脳の左脳ではなく、アナログ脳の右脳で理解する方法です。
 こういう理解ができる感受性を養うには、自然にできるだけ触れふ 、自然の持つ密やかできめ細かな営みを知ることが一番です。
 (「蘇生そせい力」中根しげる ビジネス社より)
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