1アメリカのモンタナ州は、ジュラ紀や白亜紀の恐竜の化石がたくさん発見される場所です。このあたりで、タマゴの殻の破片のようなものがたくさん見つかり、これが大発見につながりました。2タマゴの殻の周辺をさらに調査すると、直径三メートルほどもある、クレーターのような形の巣が見つかったのです。この巣の中から、赤ちゃん恐竜の化石がたくさん出てきました。3これは、この場所でカモノハシ竜のタマゴが孵化したことを示しています。また周辺からは、大人のカモノハシ竜の化石が見つかりました。
4タマゴの殻が細かく割れている理由は、赤ちゃん恐竜が足で踏みつけたからでしょう。つまり、タマゴからかえった赤ちゃんは、しばらく巣の中で生活していたということになります。5巣の中から見つかった赤ちゃんの骨は、大きさがさまざまで、いちばん小さいものは全長二十五センチメートル、大きなものは一メートルほどありました。6恐竜の親は、赤ちゃんが生まれてから一メートルの大きさに成長するまで、エサをあげて子育てをしていたのでしょう。これは、親鳥が巣の中のヒナにエサを運ぶのとよく似ています。7このカモノハシ竜の仲間には、「よいお母さん恐竜」という意味のマイアサウラという学名がつけられました。
更に、巣の中をよく調べてみると、植物の破片の化石が数多く見つかりました。これは、親が子に運んだエサの植物とは違うものです。8なぜエサでもない植物が、たくさん発見されたのでしょう。
鳥はタマゴを生むと、タマゴの上に乗って温めつづけます。タマゴがかえるには、一定期間決まった温度を保つ必要があるからです。恐竜の場合はどうでしょう。9マイアサウラの親の大きさは八メートル近くあり、体重は何トンもあったと考えられます。これでは、タマゴの上に乗って温めるわけにはいきません。そこで、自分が温める代わりに、タマゴの上を植物でおおって温度を保ったのです。0
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