1西洋には「トマトが赤くなると医者が青くなる」ということわざがあります。真っ赤に実ったトマトを食べると、お医者さんが困るほど、だれも病気にならない、という意味です。2これは少々大げさな言い方だとしても、トマトの赤さのもと、リコピンには病気を予防する働きがあります。また、トマトには、ビタミンCも多くふくまれています。
3このことわざとそっくりなもので、日本には「柿が赤く色づくと医者の顔が青くなる」という言葉があります。柿にはビタミンやミネラルが豊富に含まれています。また、柿の葉っぱや渋にも多くの栄養素が備わっています。4おもしろいのはカキのヘタの部分で、しゃっくりを止める働きがあるということです。
イギリスには、「一日にひとつのリンゴは医者を遠ざける」ということわざがあります。5リンゴには病気を予防したり、回復に役立ったりする作用があるからです。「サンマが出ると医者が引っ込む」などというのもあります。このように身近な食べ物がことわざになっているものは少なくありません。
6「秋ナスは嫁に食わすな」ということわざがあります。これはおいしい秋ナスを、お姑さんがお嫁さんにわざと食べさせない、と考える人もいます。7しかし実は、秋にとれるナスは体を冷やすので、これから子どもを生み育てるお嫁さんには食べさせすぎないように、という心遣いがこめられているとも言われています。さて本当はどちらでしょうか。
8このほかにも、ヨーロッパでは、「レタスは恋の炎をしずめる」という言い方があります。レタスの切り口から出てくる白い汁には、精神を安定させたり、眠気をさそったりする働きがあるのを、しゃれた言い回しで表しているのです。
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