1世界には、人間に発見されていない動物や植物がまだたくさんあります。もしそうした新種の動植物が発見されると、「学名」がつけられます。2「学名」には、ラテン語が使われることが多く、全世界の学者が共通でわかるようになっています。たとえば、「犬」という動物は、英語では「ドッグ」、フランス語では「シャン」、タイ語では「マー」、と国によって言い方がちがいます。3しかし、「学名」では、世界中共通で「カニス」ということばを使うのです。
4学名は、主にラテン語で作られますが、中には日本語をもとにしたものもあります。
5ニホンザルは、学名をマカカ・フスカタと言います。この「マカカ」は、「お尻がまっかっか」という日本語からつけられました。また、トキの学名はニッポニア・ニッポンと言います。6昔日本にはこのトキがたくさんいて、群れとなって、美しいピンク色の姿で空をそめたこともあるそうです。
7人間にも、学名があります。それはホモ・サピエンスといって、ラテン語で「知恵のある人」という意味です。
8今、ラテン語を普通の生活で使っている場所はありません。ラテン語は、もともとイタリア半島に住んでいたラテン人の言葉でした。それがローマ帝国の言葉となったために、ヨーロッパ中に広がったのです。
9どうして学名にラテン語が多く使われるのかというと、今の世の中で使われていないために、かえって世の中の動きに左右されない本来の意味が伝わるからだというのが一つの理由のようです。0
言葉の森長文作成委員会
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