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課題集 ウツギ の山

★じゆうなだいめい / 池新
○はじめてできたこと / 池新
◎うんどうかい / 池新
○じどうしゃもとおれるきのほらあな / 池新
抜けた歯 / 池新
 【1】十二月三日みっか、大事件が起きました。ぼくの下の前歯が抜けたのです。友達はみんな抜けていたのに、ぼくだけ、まだ一ぽんも抜けていませんでした。
 その歯は、前から少しぐらぐらしていました。【2】歯が抜ける前の日から、走った震動でぐらぐらしてしまうぐらい揺れていました。だから、ぼくだけ、あさごはんをおかゆにしてもらいました。おかゆはあまり食べた気がしません。ぼくは何杯なんばいも食べました。
 【3】あさごはんはなんとか食べられたけれど、心配なのは給食です。その日の献立はきびなごフライでした。まるで歯医者さんに行ったときみたいに大きな口をけ、慎重に口に入れました。そんなに気をつけて食べたのに、ぐらぐらの歯にがつんと当たってしまいました。【4】とても痛かったです。ぼくは、おなかがぺこぺこでしたが、それからは、もう歯が気になってあまり食べられませんでした。
 ぼくは、一回も給食を残したことがありません。それなのに、今日は残したので、友達が心配してくれました。【5】大ちゃんは、
「自然に抜けるまで待った方がいいよ。」
と言いました。てっちゃんは、
「ぼくは、お兄ちゃんとケンカしてたら腕がぶつかって抜けたよ。」
と言いました。その話を聞いていた女の子たちも、自分が抜けたときのことを教えてくれました。【6】歯医者さんで抜いてもらった子もいました。ぼくがいちばんうらやましいなと思ったのは、朝起きたら抜けていたという話です。どうしてかというと、寝ている間だったら痛くてもきっと気がつかないなと思うからです。∵
 【7】給食のあとの掃除の時間も、帰りの会のときも、ぼくはいつもの元気が出ませんでした。きっと給食を食べられなかったからだなあと思いました。帰りに大ちゃんが
「今日、遊べる?」
と声をかけてきたけど、断ってとぼとぼと家に帰りました。
 【8】いえに着くとお母さんが、
「うわー、これぬいてあげようか。」
と、ぼくの歯を指でぐらぐら揺らしました。ぼくは、思わず逃げたくなりました。
 晩ご飯も、歯が痛くて食べられませんでした。【9】思い切って抜いてしまおうとも思ったけれど、結局そのままにしてお布団に入りました。明日の朝、起きたら抜けていたらいいなあと考えながら寝ました。
 次の朝、目が覚めると、なんと、枕のとなりに歯が落ちていました。
【0】「やったあ、抜けたよう!」
ぼくはお母さんのところへ走りました。思ったとおり、寝ているときに抜けたので嬉しくてたまりません。痛くなかったので本当によかったです。

(言葉の森長文ちょうぶん作成委員会 ω)