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課題集 ツゲ3 の山

○自由な題名 / 池新
○もうすぐクリスマス(お正月) / 池新


★近ごろ、わたしたちは / 池新
 近ごろ、わたしたちは地面を歩くことが少なくなりました。道が、コンクリートやアスファルトでおおわれたからです。
 あそび場の原っぱも少なくなりました。工場や家が建てられてしまったのです。林や空き地が切り開かれ、土はかぎられた所にしか見られなくなっています。こんなことでは、夏の暑さは、ますますきびしくなってしまうのではないでしょうか。わたしは、それが心配です。
 林のそばはすずしく、アスファルトの上は暑い。わたしは、それはどうしてかという疑問を、ひとつひとつ解決してきました。
 林の木は、土とともに気温の上昇をやわらげてくれていました。水の蒸発という現象や、植物の蒸散という活動を通じて、地表近くで、ものすごい量の熱量のやりとりが行われていたのです。
 また植物は、二酸化炭素を光合成によって、自分の体にたくわえるはたらきをしています。
 今、地球の温暖化が世界的に大きな問題となっています。わたしたちの石油・石炭の使いすぎによって、空気中の二酸化炭素の量がふえているためです。
 目に見えないけれど、植物は光合成により、地球の温暖化のいきおいをもおさえる役目もしているのです。
 また、水田のそばがすずしいのも、水面からの水の蒸発があるからであるということも、これまでの実験から理解することができました。
 日本の美しいけしきを代表する水田が、一日あたり約五ミリメートルの蒸発散じょうはっさんを行い、気温をやわらげる作用を行っていることをもわすれてはなりません。
 また、わたしは夏の暑さについて考えてきましたが、冬の寒さに、土が関係していることもつけくわえておきます。
 それは、土に保たれている水が、あたたまりやすく、さめにくいという性質をもっているために、昼間あたためられた土の中の水が、夜間、外の空気が冷えきってしまってもさめにくいので、熱を空気中にはきだすのです。∵
 さらに、土の中の水が冷えて氷になるときも、熱をはきだします。ですから、土は地球全体が冷えすぎないような役目をしてくれているといえるのです。
 土や植物は、わたしたちにとっては、すごしやすい気温の状態を保ってくれている、エアコンのようなはたらきをしているといえるでしょう。
 身のまわりにある、ごくあたりまえの林と土。わたしは、あらためてそのはたらきがわかり、林や土をたいせつにしなければならないと思うようになりました。

(塚本明美「土は地球のエアコンだ」)