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課題集 ツゲ3 の山

○自由な題名 / 池新
○野山に出かけたこと / 池新


★望遠鏡には、 / 池新
 望遠鏡には、レンズが使われている。小さな虫や字を大きくしたり、光を集めたりする虫めがねは、まん中がふくらんだ「とつレンズ」。反対に、近視用のメガネなどに使われるレンズは、中央がへこんだ「おうレンズ」だ。
 とつレンズは、光をレンズの中心にむかって、まげる(屈折する)はたらきがあるので、レンズにさしこんだ太陽の光は、焦点とよばれる一つの点に集まって、明るく、熱くなる。また、小さな文字が大きく見えるのは、ほんとうなら、目以外のところにいってしまうはずの文字からでた光を、レンズが集めて、目にはいるようにするからだ。おうレンズは反対に、光を広げるはたらきがある。
 レンズの、このはたらきを使うと、近くのものだけでなく、遠くの人や星なども、大きく見ることができる。これが望遠鏡だ。
 望遠鏡は、今からほぼ四百年前の一六〇八年、オランダのリッペルスハイという、めがね屋さんが発明したとされ、それからは天文観測にかかせない道具になった。ガリレオ・ガリレイは、二枚のレンズをくみあわせた、屈折望遠鏡を自分でつくり、木星に四つの月(衛星)があることや、金星が地球の月と同じように、みちたりかけたりすること、月にでこぼこのクレーターがあることなどを、次つぎに発見した。
 ガリレイは、これらの発見をまとめ、一六一〇年に小冊子にして発行した。ガリレイは、地球は太陽のまわりをまわっているという、「地動説」をとなえたが、当時は、「すべての星は、地球のまわりをまわっている」とする「天動説」がかたく信じられていた。
 そのため、ガリレイは、神の教えに反する説を広めようとしたとして、宗教裁判にかけられ、「地動説はまちがいだった」といわされた。このとき、つぶやいたという、「それでも地球はまわっている」という言葉は有名だ。
 遠くの星を、より明るく見るには、星からの光がはいる「対物レンズ」を大きくすればよい。そうすれば、レンズにはいってくる光の量がふえるからだ。これは、部屋の窓を大きくすればするほ∵ど、光が多くはいり、明るくなるのと同じだ。
 しかし、レンズは大きくすると、どんどん重くなり、枠がささえきれなくなる。また、色のにじみも、大きな問題だった。光がレンズを通ると、虹の七色にわかれてしまい、小さな星の像は、にじんでぼやけてしまうのだ。
 これをふせぐには、望遠鏡を長くするといいが、何メートルもの長さになると、風などで少しゆれただけでも、星の像がぶれて、見えにくくなってしまうなど、あつかいにくくなってくる。そこで、レンズのかわりに「凹面鏡」を使ったのが「反射望遠鏡」だ。
 凹面鏡は、中華なべや、衛星放送のパラボラアンテナのように、まん中にむかってへこんだ鏡だ。レンズは光を通すが、鏡は光を反射する。しかし、光を集めるというはたらきは、どちらも同じだ。
 反射望遠鏡は、ニュートンが一六七二年に発明した。凹面鏡で集めた光を、たいらな鏡で横に反射し、筒の横につけた、のぞき窓から観測するもので、今でも「ニュートン式」として、デパートの望遠鏡コーナーなどでも売っている。

(吉田典之「『すばる』がさぐる宇宙のはて」)