昨日1005 今日667 合計165806
課題集 タラ3 の山

★野鳥観察の第一歩は/ 池新
 野鳥観察の第一歩は野鳥を見つけることです。これはあたりまえのことですが、じつはなかなかむずかしいことでもあるのです。
 きみたちの友だちにも、野鳥きの人が一人はいるはずです。ちょっと聞いてみてください。「このあたりにはどのような野鳥がすんでいるの?」って。
 そこがたとえ大都会でも「スズメ、ムクドリはもちろん、キジバト、ヒヨドリ、ハシブトガラス、カワラヒワ、シジュウカラなどは一年中いるし、そうそう、今年はヒヨドリがうちの庭で巣づくりしたよ」というような答が返ってくるでしょう。
 「そんな野鳥知らないや」なんて言わないでください。だれでも一度は見かけているはずです。ところが、残念なことに見過ごしてしまったり、気がつかないでいることが多いのです。
 どうして見過ごしてしまうのでしょう。原因の一つは、観察眼かんさつがんがないためです。観察眼かんさつがんというのは、視力が良いとか悪いとかいうことではありません。ものごとを見ぬく力のことです。
 探偵小説に登場する名探偵を思い出してください。えらそうにいばる刑事を尻目に、次つぎと証拠をさがし出し、犯人を捕える名探偵のことをです。刑事も探偵も同じものを見、聞いていますが、名探偵は刑事にくらべ、より多くのことを発見するのです。この発見する力が観察眼かんさつがんなのです。

(海野和男「自然観察十二カ月」)