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課題集 ススキ の山

◎自由な題名 / 池新

★清書(せいしょ) / 池新

○寝る子は育つ / 池新
 「寝る子は育つ」ということわざがあります。昔の人は理屈でなく経験で理解していたのでしょうが、このことわざのとおり、寝る子が育つのには科学的な根拠があるのです。日の出とともに起き、日の入りとともに眠るような時代と異なり、現代の人々は夜も活動を続けています。ですから、大人はもちろん、子供が眠りにつく時間も年々遅くなる一方です。しかし、夜更かしは健全な成長のためにも勧めることはできません。たとえ遅く寝たとしても、ある程度の睡眠時間を確保できればいいのだろうと思うかもしれませんが、そうではありません。睡眠も、量より質が問題になってくるのです。睡眠の場合、眠りに就く時間が重要なポイントになります。「早起きは三文の得」ということわざがあるのも、実は納得できる理由があるのです。
 それでは、どうして遅く寝るのはいけないのでしょうか。睡眠中には大切なホルモンが分泌されます。成長期の子どもたちに最も重要なのが成長ホルモンです。このホルモンは夜九時から二時くらいの間に盛んに分泌されます。ホルモンは夜中に出るもん(出るもの)なのです。ですから、この時間には眠りに就いている必要があります。成長ホルモンの主な働きは、骨の成長を促し、筋肉を作るたんぱく質の合成を助け、日中活動して痛んだ細胞を修復することです。名前のとおり、体の成長に欠かせないものと言えます。
 ほかにメラトニンというホルモンも忘れてはなりません。このホルモンは暗くなると分泌される性質があり、電気を煌々と灯した明るい部屋で夜更かしをしていると分泌量が減少してしまいます。メラトニンには人間の自然な生活のリズムを整える働きや、酸素の毒性から体を守る働き、それに加えて免疫を強化する働きがあります。∵
 遅く寝た場合、これらのホルモンが十分に分泌されず、体に支障をきたす恐れがあります。このことから、健康な体を維持するためには、早く眠りに就き十分な睡眠時間を確保することが大切だとわかります。
 睡眠には深い眠りと浅い眠りがあることが知られています。浅い眠りでは脳はまだまだ活動しています。日中のできごとを思い出し、記憶として定着させています。ですから、日中いっしょうけんめい勉強したことが、浅い眠りを通して記憶として定着するわけです。
 浅い眠りと深い眠りは九十分ごとに入れ替わると考えられていますが、眠りに就く時間が遅く睡眠時間が少なくなった場合は、眠りのほとんどを深い睡眠が占めてしまいます。というのも、脳に休養を与えるという、人が生きていくうえで重要な眠りが深い眠りだからです。睡眠時間が足りなくなった場合は、浅い眠りの出番はなくなってしまうのです。
 毎日深夜まで勉強していると、かえって脳を痛めつけることにもなりかねません。せっかくの努力を無駄にしないためにも、また効率よく学習の成果をあげるにも、早い時間にとこに就き能率のよい睡眠をとりましょう。

 言葉の森長文ちょうぶん作成委員会(ω)