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課題集 シオン3 の山

○自由な題名 / 池新
○お父さんやお母さんとあそんだこと / 池新

○暑い日 / 池新
○七夕の空 / 池新
 春の終わりごろになると、はくちょう座、こと座など、夏を代表する星たちが空に現れてきます。かんむり座は高くのぼり、南東の空からは、さそり座がすがたを見せてきます。
 春の星座は、頭の真上から西の空へ移りはじめ、長く横たわったうみへび座は、頭から西の空へ沈もうとしています。冬の星座はほとんど姿を消し、ぎょしゃ座のカペラ、ふたご座のポルックスとカストルが低い空に光っているだけです。梅雨に入ると、雨が多く、しばらくは美しい星空も見えない日が続くかもしれません。
 七月七日の晩、笹の葉に、願い事を書いた紙をつるしたことがあるでしょう。七夕の主役は、織姫ということ座のベガと、彦星というわし座のアルタイルです。この二つの星が天の川をはさんで光り、一年に一度、七月七日の晩に会うのです。
 七夕の星まつりは、日本では平安時代に、身分の高い人が庭に香をたき短冊に願い事を書いたのが始まりです。一般の人々が星まつりをするようになったのは、江戸時代からです。もとになった織姫と彦星の話は、中国から伝わってきたものです。
 天帝の娘織女は、牛飼いの若者牽牛と結婚しました。二人は働き者なので天帝も喜んでいましたが、結婚すると毎日遊びつづけ、仕事をしなくなりました。天帝は怒って、二人を天の川の東と西に引き離しました。しかし、織女があまりにも嘆き悲しんでいるのを見て、天帝は、二人が一年に一度だけ会うのを許すことにしました。七月七日の晩、織女と牽牛が天の川の岸にくると、大きなはくちょう座のカササギが飛んできて橋の役目をしてくれます。ところが、雨が降ると、カササギは飛んできてくれません。そこで、中国の人々は、その日に雨が降らないようにと七夕祭りを行ったのです。
 こと座のベガは、青く光る一等星で、五月の終わりごろにはもう∵東の空に輝いています。わし座のアルタイルは、ベガよりも一ヶ月ほど遅れて昇ってきます。七夕のころでも、まだあまり高い空には見えません。アルタイルも一等星ですが、ベガほど明るくはないので、さがすには、ベガとアルタイルと、はくちょう座のデネブとでできる大きな三角形を目印にします。この三角形は、デネブのところが直角で、夏の直角三角形と呼ばれています。

 七夕のころは、日本ではちょうど梅雨の時期にあたります。
 七月七日が近づくと、アルタイルは、こう思います。
「今年は、ベガに会えるベガ。」
 ベガも、そっとつぶやきます。
「雨が降っても、川をアルイタル。」

 言葉の森長文ちょうぶん作成委員会(Κ)