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課題集 サツキ3 の山

○自由な題名 / 池新
○何かを作ったこと、飼っている生き物のこと / 池新
★りょうりを作ったこと、ゴールデンウィーク / 池新

○不死身のクマムシ / 池新
 クマムシの体長は、最大でも一ミリメートルぐらいです。八本の脚でゆっくり歩く姿がクマに似ているので、クマムシと名づけられました。熱帯地方から北極や南極まで、深海の底から高山の上まで、地球上のほぼあらゆるところに生息しています。
 このクマムシは小さなスーパーマンです。といっても、空を飛んだり列車を止めたりするわけではありません。実は、この生き物はほとんど不死身なのです。
 クマムシの体の大部分は水分ですが、周囲が乾燥してくると、水分を極度に減らし、樽のような形になって眠りに入ります。
 この樽の状態になったクマムシは、宇宙の真空の中でも生き続けます。また、マイナス二百七十二度という絶対零度の世界でも、摂氏百五十度という熱湯より熱い温度の中でも生きています。更に、七万五千気圧という高圧を受けても、人間の致死量の千倍のX線を浴びても、樽になったまま生きているのです。百二十年間眠っていたクマムシに水を与えたら動き出したという報告もあります。
 クマムシはどこにでも棲んでいますが、採集するには、コケの中を探すのが簡単です。建物の陰などに生えているコケを取ってきて、ストッキングなど細かい網の上に乗せます。コケに水を注ぐと、網の下に落ちてくる水と一緒にクマムシも落ちてきます。それを顕微鏡で丹念に探すのです。
 樽状態になったクマムシを参考にして、人間の臓器を長期間保存する研究も行われています。将来、宇宙飛行で何年も先の星に行くときには、人間も樽になって行くようになるかもしれません。
「クマムシさん、こんなに過酷な実験をされて、よク、マー、ムシしていられましたね。もっと厳しい実験をされたらどうしますか。」∵
「タルになったる。」

 言葉の森長文ちょうぶん作成委員会(Μ)