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課題集 サツキ3 の山

○自由な題名 / 池新
○家族(かぞく)で出かけたこと / 池新
★清書(せいしょ) / 池新

○体の軽い鳥 / 池新
 大昔の鳥の祖先は、ほかの動物と同じように四本足を使って歩いていました。長い年月のあいだに、前足が翼に進化し、今のように空を飛べるようになったのです。鳥は、爬虫類の仲間から進化してきたので、トカゲの前足の骨組みと鳥の翼の骨組みは、たいへんよく似ており、この二つをくらべると、前足が翼に変わったことがよくわかります。また、前足だけではなく、体をおおっている羽毛の一部も翼に変わりました。風に向かって進むと、何枚も重なった風切羽かざきりばねによって、鳥は体を空中に浮かせることができます。
 しかし、翼だけがいくら立派でも、飛ぶことはできません。翼を動かす部分も大事です。鳥の胸の骨には大きな出っ張りがあり、船底ふなぞこのような形をしています。そこに、翼をはばたかせる筋肉がついています。鳥の胸の筋肉は、たいへん発達しており、この筋肉の力で大きな翼をはばたかせることができます。
 自由に空を飛ぶためには、体が重くてはいけません。普通、体を作っているもので、いちばん重いのは骨です。そこで鳥の骨は、竹のように中が空洞になっていたり、スポンジのようにスカスカになっているなど、体を軽くするための工夫が見られます。しかし、スカスカの骨といっても、すぐ折れてしまうような弱いものではなく、たいへんかたくて丈夫にできています。
 また、体全体を軽くするために、骨の数も少なくなっています。あごの骨は歯と一緒になって、くちばしに変わりました。歯がないため、鳥は食べ物をすべて丸のみにしてしまいます。「鵜のみ」にするのは、鵜だけではなかったということです。ただ、そのままではたいへん消化が悪いので、おなかの中で食べた物を砕くことができるようになっています。その役目をするのが砂肝すなぎもです。砂肝すなぎもは砂嚢とも呼ばれ、その名のとおり砂が入っています。砂粒すなつぶによって∵食べ物をすりつぶすのです。
 変わっているのはくちばしだけではありません。背骨の数も少なくなっていて、しかも棒のようにまっすぐです。首が自由に動くのに比べて、背骨は自由な動きがほとんどできません。づくろいをする鳥を見ると、体全体をひねることができないので、首だけをぐるりとうしろに回しています。しかし、そのおかげで、空を飛ぶときに体が安定する上、離着陸の衝撃から体全体が守られるようになったのです。
 体を軽くしなくてはいけない一方で、鳥は飛ぶために多くのエネルギーを必要とし、どんどん食べ物を食べなくてはなりません。そこで鳥は、食べてすぐエネルギーに変わるような食物をとるようになりました。多くの鳥は草食ではなく肉食です。植物性のものを食べる鳥もいますが、種子や果実など、すぐにエネルギーになるものを食べます。
 鳥は、少しでも体を軽くするために、もう一つ工夫をしています。それは、フンをためこまないということです。もし、鳥が便秘になったら大変なことです。フンの重さで飛べなくなってしまうからです。公園などでハトにフンをかけられてハッと驚いても、「フン!」などと憤慨せずに、「フーン、飛ぶためには仕方がないのだな」と優しく理解してあげましょう。

 言葉の森長文ちょうぶん作成委員会(κ)